ヤンキー×ピュアの独自性『ラヴ上等』のヒット考察と、タイのサステナビリティフェスティバルレポート 25年12月第3号

今週は12個のニュース、書籍1本、タイのフェスをご紹介。今週は11,376字でお届け。
南坊泰司 2025.12.16
誰でも

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マーケティングトレンドインプット 今週のクイック解説3選

ヒエラルキーの提示によるクリックを生むクリエーティブテクニック

上記の広告がInstagramで流れてきた。従来のMBTIの16パターンをさらにそれぞれ分解することでより細かくする診断コンテンツへの誘導。ポイントは「階層構造」を持ち込んでいること。従来のMBTIにヒエラルキーはない。単純にあなたはどんなタイプか、と分類されるだけである。しかし実際には分類なので、INFJが少ない、といった分布の偏りは存在する。この広告は本来は「あなたはどんな人か」を分析するためのMBTIを活用しつつも「あなたはどれだけ特別な人なのか」と調べたくなる心理をくすぐることによって、思わずクリックしたくなる(診断したくなる)心理を活用しているのだ。

こうしたヒエラルキーを突き付けることによる成功クリエーティブは複数存在する。いにしえのインターネット好きなら覚えているであろう傑作クリエイティブ、「私の年収低すぎ?」もまさにそう。このシンプルなバナーは、年収という強烈な尺度において自分の現在地が低いかもしれない、というヒエラルキーの恐怖訴求をしていることが特徴。さらに裏のメッセージとして「あなたの価値に対して不当に年収が低いのかもしれない」という期待も併せて刺激しているのが強み。

このスタイルの面白いところは単純に「診断しませんか」と言っているのではなく「あなたは上位何%かもしれないが、確認しますか」に置き換えていること。年収に関しても「あなたの価値はもっと高いかもしれないが、確認しますか」という問い。

基本的に人は「他社とくらべて」自分は特別だと感じたいし、自分の価値もできれば高い方がいい。そんな感情に対してこのスタイルはアピールできる訴求である。どちらも重要なことは年収もMBTIもある程度「世の中ごと」になっていること。これを活用するなら、まず世の中ごとを発見することが重要。

「あなたは上位何%?」という問いが、クリックを生む

Instagramで、MBTIをさらに細分化した診断広告が流れてきた。従来の16タイプをさらに分解し、「あなたは何%に該当するか」を測定する内容。

この広告の巧妙さは、「階層構造」を持ち込んだ点にある。

MBTIに、ヒエラルキーを加えた

従来のMBTIにヒエラルキーはない。「あなたはどんなタイプか」を分類するだけで、上下関係はない。INFJが少ない、といった分布の偏りは存在するが、それは単なる統計だ。

しかしこの広告は、「あなたはどれだけ特別な人なのか」という問いに変換している。本来は「あなたがどんな人か」を分析するMBTIを、「あなたがどれだけレアか」を測る尺度に変えているわけ。

この転換がある種の魔法。人は「自分は特別だ」と確認したい。その気持ちを刺激する。

「私の年収低すぎ?」と同じ構造

この手法、昔からあったもの。インターネット広告の傑作クリエイティブ「私の年収低すぎ?」も、同じ構造だろう。

このシンプルなバナーは、年収という強烈な尺度で自分の現在地が低いかもしれない、というヒエラルキーへの恐怖を刺激する。

同時に裏のメッセージとして「あなたの価値に対して不当に年収が低いのかもしれない」という期待も併せて刺激している。ちなみにこの広告はバズりすぎて様々なパロディ画像になるほどの伝説的クリエイティブである。

どちらの広告も、問いの構造が巧妙なのがポイント。

・「診断しませんか?」ではなく、「あなたは上位何%かもしれないが、確認しますか?」

・「年収を調べませんか?」ではなく、「あなたの価値はもっと高いかもしれないが、確認しますか?」

人は他者と比べて自分は特別だと感じたいし、自分の価値はできれば高い方がいい。この感情に直接アピールする訴求だ。

「世の中ごと」があって、初めて機能する

この手法が機能する条件がある。年収もMBTIも、ある程度「世の中ごと」になっていること。

誰もが知っている尺度でなければ、ヒエラルキーは刺さらない。「あなたは上位何%」と言われても、その尺度に関心がなければ意味がない。

この訴求スタイルを活用するなら、まず世の中ごとを発見することが重要だ。年収、MBTI、偏差値、フォロワー数。すでに多くの人が関心を持ち、自分の位置を気にしている尺度を見つける。その尺度に、階層構造を加えればできあがり。

“値下げしない” ブラックフライデー 「安くなる日」ではなく、「価値を上げる日」に。

ヘラルボニーのブラックフライデーは、従来型の値下げではなく「価値を上げる日」という特別な設計になっていた。値引きをせず、対象商品の作家報酬を通常の2倍にするもの。ヘラルボニーはそもそもブランド自体が価格というよりも、作家を支える、というブランドとして知られています。当然勝っている人も、そうした価値を含めて価値だと認識しているわけです。だとするならばヘラルボニーらしい、あるいは顧客が喜ぶ設計とは何か?と考えたときに、必然的にその値下げに使う値引き原資を、顧客ではなく作家へ再配分することがブランドとして「正しい」アクションになる、という考えられた設計。

そもそも値下げというものは、本来の商品価値を損なう可能性のあるアクションです。もちろん販促として非常に強力なことは言うまでもないですが、長期の価格整合性、通常時に買う人との不公平感、あるいはセールが常態化すると買い控えなどが起きる可能性すらある内容です。ヘラルボニーのアクションは、価格という崩しにくい価値を変えずに、さらにブランドらしい価値を増幅する秀逸な値引き原資の使い方と言ってもいいでししょう。

こうしたブラックフライデーを活用した「価値転換」は近年多くのブランドで見られており、期間中の売上金額の一部をNGOや保護団体などへ寄付するアクションは海外のブランドでもよく見られるようになりました。また、アメリカのアウトドアショップREIでは今年もブラックフライデーにあえて店舗を閉めて、従業員が「外に出る時間」をつくる方針を継続中。「売らない」こと自体がブランドアクションになっています。

値引きに走らず、ブランドの文脈を活用し、でもブラックフライデーというムーブメントに乗っかることで安価でPRしていくアイデア。

ヘラルボニーのブラックフライデーは、値下げをしなかった。代わりに、対象商品の作家報酬を通常の2倍にした。

「値下げの日」を、「価値を上げる日」に転換した設計。

値引き原資を、顧客ではなく作家へ

ヘラルボニーは、障害のある作家を支えるブランドとして知られている。顧客もその価値を含めて商品を買っている。

だとすれば、ヘラルボニーらしい、顧客が喜ぶ設計とは何か? 値引き原資を、顧客ではなく作家へ再配分する。ブランドストーリーとしてただブラックフライデーに乗るのではなく、適切に見えるアクションを選択。

値下げは、本来の商品価値を損なう可能性がある。長期の価格整合性を崩し、通常時に買う人との不公平感を生む。セールが常態化すれば、買い控えも起きる。

ヘラルボニーは、価格という崩すことが難しい価値を変えず、ブランドらしい価値を増幅させたのだ。

ブラックフライデーを、ブランドアクションに変える

こうしたブラックフライデーを活用した「価値転換」は、近年多くのブランドで見られる。

期間中の売上の一部をNGOや保護団体へ寄付するブランドは海外でも増えている。アメリカのアウトドアショップREIは、ブラックフライデーにあえて店舗を閉め、従業員が「外に出る時間」をつくる方針を継続している。「売らない」こと自体がブランドアクションになっている。

値引きに走らず、ブランドの文脈を活用し、ブラックフライデーというムーブメントに乗ることで安価にPRする——このアイデアが広がっている。

セールのムーブメントは、ブランドの価値観を問う機会になりえる

ヘラルボニーの事例が示すのは、セールをブランド価値の再定義に使う発想。

ブラックフライデーは「値下げの日」である必要はない。むしろ「ブランドが何を大切にしているか」を示す絶好の機会になっている。

重要なのは、値引き原資の使い方だ。顧客に還元するのが唯一の選択肢ではない。作家、従業員、社会、環境、ブランドが大切にする対象に再配分すれば、セールはブランドアクションになる。

もちろん、これはムーブメントをうまく活用しているということでもある。おそらく、どのブランドのアクションもなんでもない日に行っても、それほど話題にならない。シーズナルのムーブメントをどう活用するのか?という視点。

「グラフペーパー青山」 声をかけて初めて商品が見られる販売スタイル

Graphpaperが、「自分で商品を手に取れない」店を作った

ECで買うことが当たり前になる中、実店舗の価値をどう作るかはアパレルブランドの共通課題だ。Graphpaperは、リニューアルした青山店で大胆な仕掛けを実行。

「自分では商品を手に取れない」店だ。

照明は消され、ガラスで仕切られた展示空間

2階には、ガラスのウィンドウで仕切られた展示空間がある。洋服、陶器、オーディオなどが収蔵庫のように並べられているが、すべて照明が消されていて、ちゃんと見えない。

並んでいるものはすべて売り物。しかし、自ら手に取ることはできない。

では、どうやって買うのか。

・スタッフに声をかけ

・照明をつけてもらい

・商品を取り出してもらう

この3ステップを経て、初めて手に取ることができる。つまり、スタッフとのコミュニケーションが必須のフロアになっている(1階は通常の店舗で、2階がこの仕様)。

なお、店内ではアルコール飲料も販売しており、滞在することを想定した設計になっている。

コミュニケーションの起点を、客に強制的に移した

通常のアパレル店舗では、声をかけるのは店舗スタッフから。この施策は、コミュニケーションの起点を客から、に強制的に逆転させる試みだ。

店舗側は、おすすめ商品を売るというより、客が興味を示したもの起点で説明する。客側は、精度高く自分が気になった商品についてコミュニケーションをする。

アパレル店舗でのコミュニケーションの意義を転換し、購入体験を強制的に濃くするアクションだ。

かなり過激な施策ではある。ただし2階だけがこの仕様、という設計を考えれば、客が納得した上で自ら起点となってコミュニケーションをする、ブランド体験を濃くする場所になっているといえる。

なお、この施策はデポ・ボイマンス・ヴァン・ベーニンゲンというロッテルダムの世界初「見せるアート収蔵庫」から着想を得たとのこと。ココもめちゃくちゃよい美術館(収蔵庫)なのでオランダに行った際はぜひ。

***

源泉かけ流し!今週のマーケティング関連トピックス(今週は12個ご紹介!)

【Spotifyまとめ】大反響「リスニング年齢」はどうやって算出したのか? あなたは何歳だった?

先週SNSシェアを席巻していたのが「Spotifyまとめ」
毎年12月上旬にこの1年よく聞いた曲やアーティストがシェアされる試み。
毎年よくシェアされているが、今年は特にシェアが多かった。過去最高のエンゲージメントを記録したとのこと。
その要因が「リスニング年齢」。
これは絶妙な施策である。
年齢と同じならば「当たってる!」
年齢と上ならば「思ったより高い」
年齢より下ならば「こんなに若い数字が出てる」
どの文脈でも面白いし、人に言いたくなる。年齢は世界共通の話題でもある。
この数字はどうやって算出されているのか?
まずユーザーが今年再生したすべての楽曲のリリース年を分析し、「同じ実年齢の平均的なリスナー」と比べている。
つまり1970年代の音楽を多く聞いていた人は60歳前後になり、最近の音楽をよく聞いている人ならば20歳前後になるということ。
ちなみにK-POPオタクの僕は20歳でした。

クエンティン・タランティーノは『キル・ビル』の失われた章が作られるとは思っていなかった ― フォートナイトが介入するまで:「脚本を送ったら『やろう』と言われた」

タランティーノの名作『キル・ビル』の映像化されなかったパートをフォートナイトに提供。
フォートナイト上で「幻の章」が映像化されることに。
フォートナイトのエンジンによって、ユマ・サーマンの演技が再現。8分間の短編アニメとして劇場でも公開されるし、フォートナイト内でも公開。
フォートナイトが単なるゲームではなく、新しい映像表現の実験場として活用されている。

京都だけじゃない日本人観光客離れ 東京など35都道府県で宿泊者減少

オーバーツーリズムが強烈な京都に限らず、日本人観光客離れは35都道府県で起きている。
混雑とホテル高騰で「むしろ海外」を選ぶ人も増加。
ではみんな旅行に使っていたお金を何に掛けているのか?
JCBの分析では「外食」や「コンテンツ配信」に投入。物価高の中でデジタルコンテンツはコスパ最強。

サントリー「特水」好発進 発売1ヵ月は計画比1.3倍 伊右衛門「特茶」で取り切れないニーズに対応し水市場の領域拡大に手応え

サントリーの大々的に売り出した新製品「特水」。スタートは好調とのこと。
伊右衛門のサブブランド「特茶」のさらに横展開として生まれた商品
かなり珍しい水カテゴリの機能性表示食品(実際の区分は清涼飲料水)
お茶よりも水の方が飲用シーンの柔軟性は高い。
特茶とも食い合わずに売れている。

1着3万円ダサくない「部屋着」 高級スポーツウエアで外出、米で人気

スポーツウェアを日常着に取り入れるアスレジャーが引き続き底堅い人気。
トレンドの中心にいる米国のブランドaloやvuoriは大きく売り上げを伸ばしている。実際米国では当たり前に見かける。
セットアップで3万円レベルの高級でもあるが、セレブリティ起用のイメージ戦略と機能性で伸長中。

ワインよりも大麻グミ、米感謝祭の食卓に変化-世代を超えた新習慣

昨月27日はアメリカではサンクスギビング
感謝祭の食卓で消費が拡大しているのがなんと大麻(THC)。
アルコール消費量が減る中で、その代替としてTHC製品が売れているらしい。感謝祭の前日が大麻製品が年で2番目に売れるタイミングとのこと。
アルコールよりTHCの方が安全、ということらしい。

egg流行語大賞2025✨

ギャル雑誌、eggの2025年流行語大賞。
見事に2位、8位以外ほぼ知らないですね笑
全体的に開示・さつおわ・レートなど、業界用語的なものが一般的会話の中に取り込まれる、という構図はギャル世界でも同じような動きなんだろうな、と思います。

老後2000万円じゃ不足? 外出支援や家事…膨らむ介護保険外サービス

介護保険の対象にならない外出支援や家事代行などのサービスが拡大。
一人暮らしの高齢者や働きながら家族を介護する「ビジネスケアラーや独居高齢者も増加。日常生活のサポートニーズが高まる。
年金収入が増えるわけでもないので、高齢者の家計は圧迫気味。

「あまりにも食上がる」「もう面白くない」ずっと台無しに…結局、ネットフリックスに行ったマドンソク

韓国映画が崩壊の危機。
実はいま、制作中の大作韓国映画はほとんどゼロ本らしい。
大手映画館は今年に入って12館が閉館。マ・ドンソクが製作指揮した映画は興行的に大敗し、結果マ・ドンソクはNetflix制作に出演を決める。
動画見放題サービスの伸長著しい韓国ではわざわざ映画を見る体験は大きく退潮。韓国ドラマは好調な一方で映画を見る習慣はコロナ以前以後で回復できていないのが現状。
いかに「劇場以外で回収するか」が重要に。

ガチャ「赤の他人の証明写真」が月4万個のヒット なぜ“スターおじさん”まで誕生したのか

大ヒットしたカプセルトイ「赤の他人の証明写真」
その名の通り、知らないおじさんをはじめ、犬や猫、おじいちゃん、偽の指名手配犯など、証明写真を揃えることで月4万個売り上げる。
多くは実際の人物が自分の証明写真を提供しているとのこと。
スマホケースに挟んでいる女子高生も結構いるらしい。

ほぼ日手帳、ついにアプリに 共有機能なし「映えより自分との対話」

グローバルでも売れている「ほぼ日手帳」。
遂にアプリも登場。
スマホのベース機能である位置情報の記録や歩数、カレンダーと連携し、自動で「毎日の記録」がたまる。
紙の手帳の1日1ページの感覚を少し変化させながらアプリに落とし込んでいるUI、面白い。
人に見せる、でなく自分のための記録。

p韓国即席麺、世界シェア伸長 K-POP・ドラマ人気追い風 農心が輸出専用工場 三養は初の海外工場

韓国の即席めんが世界的にヒット中。5年で2倍の輸出量に。
辛ラーメンやブルダックなどヒットの幅も広い。
世界的にK-POPや韓国ドラマがヒットし、韓国が身近に。韓国ドラマで自然に商品が露出しているのも強そう。
世界的にスパイシーは受け入れられているのも大きいか。

***

海外現地調査レポート:ワンダーフルーツ、音楽&カルチャー&アートミックスな最旬フェス

近年話題になってる、タイのパタヤ郊外で行われるワンダーフルーツというフェスに潜入してきましたよ~

初開催は2014年、そこから10年でいまや2.5万人が訪れる規模に成長した毎年12月に行われる5日間のフェスです。このフェスは主催者自身が「人々を“楽しいから来る場所”だと思わせておいて、実はサステナビリティについて考えるきっかけを埋め込む」「フェスというよりソーシャルムーブメントだ」と語るように、フェスというカルチャーラバーにとって愛される形態をとりながら、さまざまな角度でサステナビリティを伝える、実に優れたデリバリーとなっているのがポイントです。

なので核となる音楽だけでなく、フード、アートを取り込み、さらにトークセッションやワークショップなども多数開催。Farm to eatやウェルネスなども取り込んでいる総合体験になっています(もちろん音楽フェスだけの楽しみ方もできますが)。場内ではヨガやウェルネスなどのイベントもいろいろ開催。

パタヤ中心部から約40分ほどでつく広大な敷地に入ると目につくのは、廃材を用いた様々なアートや建造物。もちろんインスタ映えもするような見せ方のうまさも感じますが、素材の選択や工法、解体後の行先まで、持続可能で循環するように設計されているとのこと。毎年インパクトレポートにまとめて次年度の設計に生かすなど「毎年のようにアップデートする」のもこのフェスの強み。

音楽に関してはグローバルな視点での先鋭的クラブカルチャーに、タイやアジアローカルのアーティストを組み合わせるようなイメージ。私が訪れた際は日本のアーティストも演奏していました。敷地内に音楽ステージは大きいものが3つほど、中規模が5つほど点在し、建築も含めて見せ方は様々。各々のノリ方で楽しめます。

フードもタイ料理アジア料理を中心に非常に充実しており、僕が過去行ったフェスの中でも質はトップクラス。量も多くあまり並ばないのもうれしい。実は会場内にはバンコクのサステナレストランとコラボしたコースのディナーもあったり、地域の野菜や料理をフィーチャーしたスペースも。ハンドメイドのコンブチャやローカルの野菜などを売るなど、単に美味しいにとどまらないのも面白い。

面白いのはこのフェスが年一度の一過性ではなく、このフェスを行っている場所を年間通手使う常設のプラットフォームにしようとしていること。実験農場にしたり、森を再生したり、常設建築のコンペなどを行い、持続可能な場所事態に生まれ変わろうとさせています。しかも運営費の半分程度は企業協賛で賄われているそうなのですが、場内にスポンサーの文字がない!実はコーポレートロゴの掲出は禁止されており、企業はサステナビリティをテーマにしたプログラムを提供することで「匿名参加」できる権利になっているとのこと。

こうした強烈なコンセプトに基づいているがゆえに、フェスとしての体験はすこぶるよかったです。場内にはゆとりがあり、東南アジアですがゴミが全く落ちておらず非常に清潔。参加者のリテラシーも高いのでトラブルもほとんど見かけず、またチルできるスペースも多いのでゆったりと楽しめる。おいしいフードを食べながらこの体験をすることで、確かに自然とサステナビリティに関するマインドセットも高まる。体験設計の素晴らしさが、そのままブランド価値に転換する、素晴らしい実例という感じでした。来年も参加したいな~

***

明日から効く!マーケティング/ブランディング関連書籍レビュー

ブランディングの科学 独自のブランド資産構築篇 ジェニー・ロマニウク

ブランド・マーケティングに大きな衝撃を与えた『ブランディングの科学』の第三弾。このシリーズ全体がオーストラリアの研究所による実証データに基づいたエビデンスドマーケティングに基づいている。あいまいかつ誇大に語られやすいブランドという概念における様々な「常識」を打ち砕いた革命的な本なので、シリーズすべてお勧めしたい内容になっています。

この本においてはブランディングの科学シリーズで語られてきた法則をもとに、実践的に独自性のあるブランド資産をどのように設計するのか?という点にフォーカスをおいた内容になっています。バイロン・シャープの理論は、日用品に偏りすぎている、エビデンスに基づくがゆえにテレビ全盛自体のマーケティングに寄っている、過度にシンプル化している、特定の国によりすぎている、などの反論も近年アカデミアの世界では見かけるのですが、エビデンスに裏打ちされた実践につながる研究の価値は高いと思っており、実際にブランディングの現場にいる感覚からしても大いに活用できる内容ですので、是非とも3作とも読んでいただきたいです。

~いったんCMです~

私が代表を務めるマーケティング/ブランディング支援会社manage4ではこうした理論も取り入れながら、実践的にブランド構築を伴奏しておりますので、ブランディングにお悩みの場合はぜひ気軽にご相談ください!

さて、本書の内容に戻りますと、ブランド資産という強力ながら繊細な事象に関して、データを用いて実践的に突き詰めていることが本書の特徴です。たとえば安易にリブランディングして資産を失えば大きくシェアを失った事例が実際にあります。ブランド資産と聞くと多くの人が名称やロゴをイメージすると思いますが、実際はキャラクター、音声、形状、カラー、パッケージ、セレブリティなど様々なもので形成されている。本書はそうした資産の中でも特に効力が高いものは何か、重視すべきものは何か、を丁寧に説明しており、実務に生かしやすい内容になっています。

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偏愛!なんでもインプットコラム

日本のヤンキー・ギャルが世界に見つかった!?ヤンキー×ピュアの独自性『ラヴ上等』

Netflixリアリティシリーズ『ラヴ上等』が話題。僕も見てみましたが掛け値なしに面白いです。

知らない人向けに説明すると、『ラヴ上等』は、社会の「はみ出し者」として生きてきた11人が、学校で14日間の共同生活を送り、衝突しながら本気の「愛」を追求するという、日本発の“ヤンキー純愛”恋愛リアリティ。

これ、コンセプトが面白くて、ただの「ヤンキーの恋リア」だけでなく「純愛」と銘打っているところがポイント。プロデューサーであるMEGUMIも「恋愛から距離を置く人が多い中で、喜怒哀楽がシンプルに出る人」としての価値をヤンキーとギャルに置いています。もちろん、フックとしてのガラの悪さは強いのですが、核は純愛。これは恋リアコンテンツが大量に出回る中で普通の取り回しでは「ピュアではない」と感じる人が多くなった、裏を考える人が多くなった、とも言えそうです。現にバチェラー/バチェロレッテはそういう見方が強い。

実はこのピュアというキーは同じくNetflixで話題になった恋リアの『オフラインラブ』にも共通しています。オフラインラブはあえてスマホが使えない時間や手紙というアナログなアイテムを活用するだけでなく、意識的に出演者を従来型恋リアのキラキラ系から崩すことでピュアなドキドキ感を創り出していました。

実はどちらの作品も、世界で結構バズっているコンテンツなんです。オフラインラブの切り抜きには世界中からのコメントが、ラヴ上等も英語圏や韓国でもかなりバズっています。これはもちろんヤンキーという日本独自文化への興味もありつつも「純愛」リアリティコンテンツに飢える層が多いからなのかもしれません。

ラヴ上等に話を戻すと、コンセプトの面白さだけでなくクリエイティブとしての作りの上手さがさすがNetflix。女性の部屋はゼブラ柄やホットピンク、男性側はネオンや部室感など、それぞれの部屋の作り方だけでなく、キッチンやリビングなどの象徴的な場所の作りこみがすごい。90年代的カルチャー演出によるglobeの主題歌や、ホストクラブ、バーレスクなどの日本的なナイトライフからの転校生などの作りこみも、グローバルを意識し、そしてしっかり話題になる秀逸な作りこみだなと。

ストーリーテリングとしては「スリル」の使い方がうまい。本来の恋リアにおけるスリルは脱落の恐怖や恋愛のいざこざが多いですが、この作品においてのスリルはメンツ上等の喧嘩や、○○疑惑での退場など全然恋愛と関係ないところで生まれてくるのがシュールな笑いも含めた面白さになっています。あらゆる面での作りこみが良くできていて、さすがNetflixだな~という感じで楽しんでいます。

なんと!次の更新は本日予定。みんなで見ましょう!

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今週の1曲

Oneohtrix Point Never - Lifeworld
https://www.youtube.com/watch?v=YfjsyKFbyqM

今回は実験的電子音楽のアンビエントで最近好きなOneohtrix Point Neverの新曲をご紹介。Oneohtrix Point Neverはアメリカの電子音楽家、ダニエル・ロパティンのアーティスト名義。この曲が収録されているアルバムは90-00年代初頭の音を様々に素材としてくみ上げるというコンセプトとのことで、曲自体は浮遊感があって癒しも生まれそうなファーストタッチなのだけれど、聞いているとピッチだったり、使われている音に意図された揺らぎが多数あるのが面白さ。環境音楽のようで、無視できない余白の迫力があるような、裏でかけてたいけど思わず手を止めてしまうような良さ。簡単に気持ちよくしきらない音の感覚への挑戦!って感じで好きなアルバムなのでした。

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