「安否確認をするだけ」のアプリが中国でバズった理由&葬送のフリーレンの公式アカウントはお手本にすべき! 26年1月第3号

今週は8個のニュース、書籍1本、ロンドンのマリオットブランドホテルをご紹介。今週は9,699字でお届け。
南坊泰司 2026.01.20
誰でも

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マーケティングトレンドインプット 今週のクイック解説3選

「死了么」(死んだ?)と1日1回問いかけるアプリの世界的大ヒット。なぜ中国は震源地となったか。

中国発アプリ「死んだ?」が、世界で大ヒットした理由

中国発のアプリ「死了么/Demumu」がリリースの約半年後に突然大ヒット。中国のApp Storeランキングで首位になり、世界へ波及。米国のApp Store有料ランキングでも1位に達し、大量の模倣アプリが登場。

機能は実にシンプル。1日1回ユーザーが「生きている」というボタンをタップするだけ。2日連続で操作されなかった場合、緊急連絡先に連絡がいき、生存確認がされる仕組み。現在はDemumuという名前に改名されているが、もとのアプリ名称は「死了么」。中国語で「死んだ?」という刺激的な名前だったんです。

「誰にも気づかれず死ぬ不安」が、中国に広がっていた

この奇妙でシンプルなアプリが急に話題になったのは、現代中国の時代背景を反映している。

中国では都市部の若年層の独居が増えるなど、あらゆる世代で一人暮らし人口が増加している。それと連動して、事故、急病、孤独死 -理由は様々だが「自分が誰にも気づかれず死んでしまうのではないか」という不安が社会に広がっていた。

興味深いのは、孤独死が大量に増えているという統計は確認されていない点。つまり「社会の共有する不安」が存在し、その感情にこのアプリが刺さった。

この社会背景に対して、役立つだけでなくブラックユーモアでアプローチしたのがこのアプリだ。機能としては安否確認だが、アプリ名称は「死んだ?」。海外でも伸びたことを受けて、アプリ名称は「Demumu」に変更された。立ち上がりつつあるブランドに人格を与える狙いもあったんだろう。しかし、機能が非常に単純なため、同じ名前を名乗る類似アプリが大量に出現し、公式を識別できない事態に発展した。この奇妙なアプリが公式としての立場を守り、存在感を示せるかは不透明だ。

社会の「気分」を、えぐる名前と機能

このアプリの勝因は2つある。

第一に、社会的に広がる「気分」に対してはっきりとえぐっていく強烈な名前。第二に、直感的に社会課題と接続したシンプルな機能。

ブラックユーモアと実用性を両立させ、語られていなかった不安を可視化した。「死んだ?」という名前が、むしろ不安を笑い飛ばす余裕にもつながったのかも。

インサイトからカテゴリーエントリーポイントとなる「文化」を形成 エマールの「風呂」施策

ホームクリーニング剤のエマールが創り出した新たなカテゴリーエントリーポイントは「ぬいぐるみを洗うためのエマール」。ただの用途として見せるのではなく、「エマール風呂」という見せ方で興味を持たせた。

推し活時代、ぬいぐるみは汚れやすい

推し活時代、ぬいぐるみの存在感は増している。単に愛するだけでなく、バッグチャームとして持ち歩いたり、ぬいぐるみと旅行したり、カフェで写真を撮ったり——用途は多様化。家で愛でるだけでなく、様々なシチュエーションに登場するからこそ汚れやすい。この着想の起点は、担当者が電車で黒ずんだぬいぐるみを見たことから始まっている。ぬいぐるみ×洗濯の検索需要が特に夏場に伸びており、需要があった。ぬいぐるみは推し活だけでなく、小さいお子さんのいる家庭でも、一緒に遊ぶことで汚れることが多い。

この着想の起点は、担当者が電車で黒ずんだぬいぐるみを見たことから始まっている。ぬいぐるみ×洗濯の検索需要が特に夏場に伸びており、需要があった。ぬいぐるみは推し活だけでなく、小さいお子さんのいる家庭でも、一緒に遊ぶことで汚れることが多い。

「風呂」が、愛する人の気持ちを拾った

面白いのが「風呂」にした点だ。

確かにエマールを入れて、ぬいぐるみを洗濯機に入れればきれいになるだろう。ただぬいぐるみを愛する人の気持ち的に、洗濯機に無造作に入れ、回転させることには抵抗感がだろう。「風呂」という施策は、その心理を捉えている。ぬいぐるみを優しく風呂に入れるように自分で洗うのは、推し活の一種の儀式ともいえるかも。施策として、グッズとしてぬいぐるみが機能しているアイドリッシュセブンとコラボしたのもよくできている。施策実行時にXのトレンドに入り、PRが広がり、売上個数も前年比130%と明確な成果が出るのも当然か。

インサイト発見から、すそ野を広げる

インサイトの発見から、カテゴリーエントリーポイントを作り、新たなエマール活用のすそ野を広げる。教科書のような施策だ。しかも一過性でなく、分解可能な施策になっている。既存商品の新たな用途を探すとき、「使える」だけでは弱い。その用途に付随する感情や儀式まで拾えるかが鍵になる。

ロンドンの地下鉄ががHeinekenのノンアルビールと組んだ都市リブランディング

ロンドンの地下鉄とハイネケンは、Bakerloo線という一路線を2週間だけ「Bakerl0.0線」として扱う大規模キャンペーンを実施した。(アルファベットのOふたつが0.0になっている、というシャレ)Bakerloo線の駅が「Waterloo → Waterl0.0」「Oxford Circus → Oxf0.0rd Circus」となるように表記が変わり、サインも変更。

ルールのいじり——禁止されている場所で配る

このキャンペーンは、ことばのいじりだけでなく、ルールのいじりもやっている。ロンドンの地下鉄では15年以上前から飲酒は禁止されている。ただ、このキャンペーンでは例えばWaterloo駅で、ノンアルハイネケンが駅構内で配布された。ハイネケンだけど、ノンアルだから地下鉄でもOK、という理屈だ。ロンドンの地下鉄には電車内の広告やホームのポスターなど広告はたくさんある。しかし「駅名や線の名前」という公共に近いものまでいじっていくスタンスは、かなり大胆。

「本来飲んではいけない場所」が、価値を伝える

ハイネケン側で考えると、「本来飲んではいけないところ」とコラボ&サンプリングすることで、「ビールだけどノンアル」というプロダクト価値を強力に伝えている。とはいえ、この施策には公共交通のサインを変えていることが誤解や混乱を生むのでは、という消費者団体からのクレームもついており賛否両論。

公共機関のラインは、どこまでか

あらゆるブランドが「いじり」OKになる中で、公共機関のラインは難しい。ハイネケンの施策は、禁止されている場所でノンアルを配るという逆転の発想で商品価値を伝えた。とはいえ公共サインの変更は、利便性を損なうリスクもある。ブランドのクリエイティビティと公共の責任——この線引きをどう考えるか。

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源泉かけ流し!今週のマーケティング関連トピックス(今週は8個ご紹介!)

地政学リスクの展望(2025年12月)

2026年はスタートからベネズエラやイランで大きな動きが。
そんな地政学リスクを概観するために、シンクタンクのリサーチ資料を読むのがおススメ。
現在に至る背景と情勢理解、
未来の展望、
経済の力学、
対立構造、
そして2026年のシナリオ
がシャープにまとまっています。

木の枝が届くサブスクが急拡大 コンサルティングから事業転換で成功 

「木の枝が届く」サブスクが好評。
花と異なり、枝は一定の存在感があるサイズだと持ち帰りが困難。だからこそ「指定した場所に届く」ことが重要。
富裕層だけでなく、BtoBでも利用が広がっているとのこと。
更に顧客接点としてカフェも運営。
「枝もの」の価値を多角的に発見するアプローチ。

スタートアップからJTCに異世界転生して直面した衝撃5選

スタートアップから日本の大企業に転職して感じた衝撃5選。
私は反対のルートをたどっているのですが、だからこそうなずける所が多くて面白いです。
・朝が早い
・年次が重要
は本当にそうだよなと。
そして一番大きいのが「スタートアップという世界」は割と狭いってこと。

投資家が評価している グロース上場企業の取組み事例集

東証が発表している
グロース市場上場会社向けの「投資家の期待に答える取り組み」事例集。
機関投資家やスタートアップ関係者などのヒアリングに基づいて作った異例の文書となってますが、内容はかなり面白い。
トライアル、アストロスケール、TKP、バイセルなど。
「投資家の欲しい情報」が明確。

“Z世代は飲み会嫌い”は本当か? 世代を隔てる“配慮”の存在

若い人は本当の飲み会嫌いなのか?
を分析した調査。
・25歳~29歳の「宴会や飲み会」への抵抗感は、実は“全体とほぼ変わらない”
・(お酒が好きな人は)飲み会は苦にならないが6割
・参加したい理由は「出会いを通じた成長意欲」
お酒OKな人に限りますが、飲み会に関しては意外とポジティブ。

新幹線×JALタッグで、国産生鮮の海外“爆速”輸送の新ビジネス。地方から最短13時間で台湾へ「JAL de はこビュン」開始

たった13時間で、福井県から台北の空港まで、ブランド食材「越前ガニ」が届く。
JALとJRがタッグを組んだ新輸送サービスが速くてスゴい。
従来型の輸送(トラックと航空便)だと30時間かかるところをおよそ半分に短縮。
世界に対して日本の名産品を届ける仕組みは富裕層向けに可能性あり。

5万円超シルバニアファミリーが販売好調 「キダルト」を狙い撃ち

シルバニアファミリーシリーズのすそ野が拡大中。
価格5.3万円の超高級セットは大人がメインターゲットの細部までこだわった商品。
リピーターである強火ファン向け。
一方でコンビニで買えるシルバニアファミリーもある。
人形だけのセットで開封するまで中身が分からないブラインドボックス方式。

日本生命がリワードプログラムを刷新 アンケート・リワード機能導入によるCX向上策とは?

顧客との接点の作り方が難しい保険業界。
日本生命のリワードプログラム「ハピネスナビ」は、アナログからデジタル中心へ。
目玉はギフティと連動した施策。
営業職員による顧客情報登録をセルフ化するかわりに、ギフトを提供する仕組み。
情報一元化と工数削減を同時に実現し、顧客メリットもある

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海外現地調査レポート:テック×デザイン×運営効率 独自の文化で人気を得るミニマルホテルcitizenM

先日、ロンドンに行きました。だいたい私はマリオットブランドのホテルに泊まっているんですが、今回はマリオットのグループではないが提携している、CitizenMホテルに宿泊してみました。実はこのホテル、デザイン面でもサービス面でもビジネス面でもエッジの効いたホテルチェーンで注目していたんですよね。

citizenMは20年弱前にアムステルダムで誕生し、欧州を中心としつつもN.Yや台北なども含めて数十件世界に存在するホテルチェーンです。コンセプトは当初から変わらずAffordable luxury(手の届くラグジュアリー)。空間設計やデザインは高級なデザイナーズホテルの雰囲気を持ちつつも、あくまで現代における「積極的に移動する人」をターゲットとし、その人に対して最小限のサービスだけを残し価格をお手頃にする、というビジネス設計をしているんです。

citizenMの客室は約14m²で標準化され、部屋のランクは基本的に同一です。14㎡とは例えば日本で言えば東横インの一番狭い部屋ぐらいなのでかなり狭いのですが、ベッドはラグジュアリーホテルのキングサイズ並に大きいのが特徴。なのでベッドは3面がパンパンに敷き詰められている変わったデザインです。部屋が狭いからベッドが狭い、ではなく、移動者にとって大切な寝心地を最大化するためにベッドは部屋に不釣り合いなほどに大きいわけですね。

そしてシャワーはかならずレインシャワー。室内には豊富に照明器具が設置され、壁一面は窓、そこに遮光のブラインドと可動式カーテン、という部屋の機能も基本的に同一。それを空調と合わせ、手元タブレットでコントロールする仕組み。チェックインもチェックアウトもセルフで行う仕組み。

これだけ聞くと最近日本でもちょこちょこ見るようなサービスを抑えて部屋の居心地だけ良くするホテル、といった雰囲気ですが、citizenMの面白さはここから。部屋やサービスは可能な限り削り、かつ標準化している一方でロビーが優れた「リビングルーム」として機能するのがポイント。

例えば私が泊ったcitizenMでは早朝から深夜まで営業するカフェがあり、美しい家具と様々な居心地の椅子・机が豊富に用意され、電源がしっかりとれる場所も多い。ホテルのWi-Fiは爆速。部屋は狭いかもしれないが、そもそも部屋に中途半端にリビング的くつろぎを期待することをやめ、ロビーを多目的にオールデイズ過ごせる場所として設計しているのです。実際のこのロビーがおしゃれかつ居心地が良すぎてたまりませんでした。単純にクールなだけでなく、CitizenM saysとこのブランド自体を人格のように扱ったり、サービスマンたちが全員同じユニフォームで、かつ非常に明るくはきはきしているエースホテルのような接客レベルなのも特徴。全員足元はスニーカーが黒のonだったので、おそらく靴まで支給されてそうでこだわりに驚き。

超居心地の良いリビング。

超居心地の良いリビング。

つまりDXとして客室制御や購買、チェックイン/アウトなどを統合的に処理しつつ、客室に関しても標準化することで工期短縮や品質安定化、そしてデザインはこだわり、ロビーは最大限に居心地を追求する。このテックやDXを活用しつつクリエーティブに力を入れる、メリハリの哲学が秀逸なんですよね。当然部屋は小さいので客室は多い。さらに高回転も実現する。となると立地を良くできる。なので世界のcitizenMは場所が素晴らしいのも特徴です。私が泊ったロンドンのcitizenMはTowerHill駅の直上にあるという最強立地で、滞在中の移動はとんでもなくスムーズでQOJ(旅の質)が爆上がりしました。

近年CitizenMは年額のサブスクリプションプランも展開しており、ヘビーユーザー向けのサービスを充実しています。例えば割引やレイトチェックアウト、コワーキングの利用など様々で、さらに別のプランでバーチャルオフィスとしても使えるらしい。

エレベータサインもかわいい

エレベータサインもかわいい

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偏愛!なんでもインプットコラム

日本一?秀逸な「公式」アカウント運用。「葬送のフリーレン」告知アカウントをお手本にしよう

昨今、Xを中心とした公式アカウント運用は複雑さを増しています。アルゴリズムは日々変わり、大きくルールも変わり、かつ炎上のスピードやハードルも下がることで、管理的にもインプレッションの獲得としても難易度が高まっている現状。そんな中で私が秀逸だと思っているのがマンガ・アニメ「葬送のフリーレン」の公式アカウント運用なのです。今回はこのアカウントのスゴさを分析しつつ、何をお手本とすべきかを考察します。

このアカウントの成功要因を分解すると3つあると思っています。

1.絶妙に自我を消している

企業の公式「中の人」が話題になったコロナ以前の世界観と大きく現状は変わり、直近では中の人の素性が垣間見える公式アカウント運用はポジティブどころかリスキーになりつつあります。フリーレンのアカウントは「編集部員がつぶやく」と明記はされているものの、ほぼ自我らしきものが見当たらず可燃性が非常に低く「透明」なアカウントになっています。自我がないことはただ燃えにくいという効果だけでなく「乗っかって話題にしやすい」という二次的拡散のトリガーをひきやすいことにもつながります。

2.繰り返しでフォーマット(型)を育てる

下記は「○○のフリーレン」というネタ投稿のいいねとRPの数です。そもそも同じフォーマットで35回も投稿しているのがスゴイのですが大喜利フォーマットを続けることで、結果的に投稿にネタ返信などが多く届き、広がりやすいムーブメントになっています。

ちなみに下記画像自体がこの葬送のフリーレン公式Xの投稿で、絶妙に自我を出さずに、しかしフォーマットの数だけを見せることで話題化するという絶妙な投稿自体が秀逸です。

同じように「断頭台のアウラ」というキャラクターをもじった「○○台のアウラ」という投稿も人気フォーマット。大喜利性が強い「○○のフリーレン」シリーズとは異なり、こちらは型ではありますが「中の人が足を使ってどこかへ行っている」「次は○○台のどこへ行くのか」「うちの○○台へ来てほしい」など別種の反応が生まれる仕組み。同じく二次的な盛り上がりが高まることは同一ですが、複数の型を育てているのはよくできていますよね。

3.公式としての資産の最大活用

たとえばアニメ放送の流れに合わせて、印象的なシーンの“マンガ”を公式Xで公開したり、あるいは漫画の名言を時流に載せてつぶやくなど、公式でしかできないマンガの資産活用を効果的に行っています。しかもファンが拡散したり活用する資料を供給していることになり、フリーレン自体の話題を保ち続けることに一役買っています。

フリーレンのアカウントのポイントは「ファンの気持ちを盛り上げるが、誘導はしない」ことにあります。○○台シリーズも、○○のフリーレンも、それ以外の投稿も、自我を抑え、極限まで「いじりしろ」「語りしろ」がある状態で公式パワーを活用しながらネット空間に提供する。かつそれをフットワーク軽く、型を作りながら高頻度で投稿する。ふんだんに画像を活用し、画像が評価されやすいXのアルゴリズムを活かす。

葬送のフリーレンは漫画の休載が多く、アニメは当然放映後は盛り上がっても休みとなる期間が長いコンテンツ。公式がこうしてフリーレン自体のネタ化、話題供給をし続けることで、この空白期間を抑え、新アニメシリーズの展開まで火を保ち続けたこと。素晴らしい貢献度になっていると思います。

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明日から効く!マーケティング/ブランディング関連書籍レビュー

コンテンツ化  高瀬敦也

著者の高瀬氏はテレビ局出身のコンテンツプロデューサー。例えば「逃走中」「有吉の夏休み」「ヌメロン」など人気なだけでなく「フォーマットとして強い」番組を多く手掛けている人。現在ではYoutuberのチャンネルや、テレビの番組企画などに広く関与。そんな過去だけでなく現代にもしっかりフィットしているコンテンツの企画屋である著者の提唱するコンテンツの作り方本です。近年はあらゆるものがコンテンツ化するだけでなく、マーケティングの世界でもコンテンツ活用は叫ばれているが、実際に優れたコンテンツを作り、広げることは非常に難しい。これをハックの視点ではなく、骨太に強いコンテンツを作り、維持するための視点が経験に裏打ちされて提供されているという意味でこの本は優れているし、コンテンツを作るクリエイターだけでなく、マーケティングに携わる人にも役立つ本でしょう。

この本のポイントはただコンテンツを作るだけでなく、コンテンツを広げていくこと、さらにコンテンツをどう「終わらせるか」まで抑えている。実際、近年コンテンツの終わり方は重要で、終わり方をミスすることでコンテンツの寿命をさらに短くしたり、その後の可能性を投じてしまう場合もよく見かける。「つくりっぱなし」にならないリアルな視点はさすがコンテンツを実際に今も作り続けている人ならではの視点と言えるだろう。

また、この本を読んでいると、現代のコンテンツがただの「面白いことづくり」ではないこともわかるはず。作るだけでなくどう発信するか、世界観をどう伴うか、どんなコミュニケーションをするか、二次的な発信者の存在をどう意識するか、など。シンプルな内容の本ではあるが、要点が明確でシャープ。すぱっと読める本としてもおススメです。

***

今週の1曲

3年前の洋楽(しかもR&B)であるSZA「Snooze」が最新ガンダム映画のテーマ曲になったのはなぜ?

『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』のPV
https://youtu.be/5p3Ec5ewI-w?si=Wf9fenpyR27YEJnS

※お茶の間では流せない過激PVなので注意

先週末、結構話題になったのが映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』のオープニングテーマ(いわゆる主題歌)として、グラミー受賞アーティストでもあるSZA(シザ)の3年前のヒット曲が突然選ばれたこと。

近年の話題アニメの主題歌は昨年大ヒットを飛ばした米津さんのIRIS OUTのように話題の日本人ポップアーティストが選ばれることが多い。そんな中、

・洋楽

・しかもポップでなくR&B

・しかも過去の曲

が選ばれるのは超異例。ただ、XやYoutubeの反応を見ると9割が好意的。「まさかのマリアージュ」としてポジティブに受け止められてそうです。僕も実際、PV見て意外や意外、めちゃくちゃ合っている、センス良すぎると思ったのでした。この「異例起用」についてちょっと考察してみます。

そもそも『閃光のハサウェイ』シリーズは、ガンダムの中でもかなり大人向けな方向性です。人間の倫理や恩讐を問うような骨太で暗めのストーリーラインの人間ドラマも楽しめる作品。この人間ドラマとしての重みを表現しながら、いまやグローバルコンテンツになりつつあるガンダムを広く世界に問うための手段として、あるいは国内向けではSZAの本格的な日本での展開に向けて、噛み合った選択なのかもしれません。ここで新曲を使ってもむしろハードルが高すぎるので、既に評判が確定した既存の名曲の中から、意外性がありつつもハサウェイの世界観に合っているものを選ぶのは合理的な可能性もあります。

オープニングテーマ起用は攻めてますが、挿入歌は前回のハサウェイでもOPテーマを歌っていたAlexandrosの川上洋平が起用されているし、音楽は引き続き澤野弘之であり、このOPテーマ以外は「おなじみ」でもあるので、安心感も担保しているのが上手いですね。

実際効果は良さそうで、PVはしっかりとバズをしていますし、海外では異色のカルチャーコラボとして専門媒体でも取り上げられている。何より、いまの世界R&B最重要人物SZAのこの名曲、改めて聴くと本当に良いですよね~ 恋愛に耽溺する女性の感情をやさしいメロディと繊細なボーカルで描く欲望渦巻く感じ。

ちなみにこのPVやMVについている日本語訳詞なのですが、私の6年来のボイトレの先生でもある新山ゆか先生が手掛けてるんです。原曲の意図を踏まえつつも、こなれた日本語話者にすっとはいる言葉選びが素敵なのでぜひ日本語訳詞にも注目してみてください!

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