音楽マーケティングに革命を、新手法リスニングパーティー&失敗しないタクシー広告の作り方とは? 26年2月第1号
忙しいあなたのためのマーケティング情報サプリメント。週に一度、厳選されたトレンドと洞察をまとめていきます。これを読めば「主要なトレンドをキャッチできる」、そういった想いで届けてまいります。まずはご登録をお願いいたします。
マーケティングトレンドインプット 今週のクイック解説3選
リスニングパーティー。音楽マーケティングにおける「静かな地殻変動」
音楽業界のアルバムプロモーションに大きな変化が生まれている。そのキーとなるのは「リスニングパーティー」。最近、ビリー・アイリッシュやタイラー・ザ・クリエイター、そしてROSALÍAと、グローバルトップアーティストたちがこぞって「リスニングパーティ」を世界各所で開催している。
私は実際に東京で開催されたROSALÍAのパーティに参加して、その理由が肌感覚で理解できた。単なる試聴会ではなく、精緻に計算された音楽体験であり、そしてサブスクリプション時代、アテンション時代に対する強い対抗策になっている。
「ながら聴き」への宣戦布告
今、音楽は曲単位で聞かれるようになっている。スマホ×SpotifyやApplemusicは便利だが、アルバムという単位を解体され、勝手にサービスが「自分の気に入りそうな曲」を判断してサジェストし、プレイリストを作る。結果的にアーティストの多くはアルバムを出す頻度が激減し、単発でシングルをて数多く打つことがヒットの法則になりつつある。アルバムの価値というものが大きく減衰している。
リスニングパーティの設計は、こうした潮流に抗っているスタイル。「アルバム1枚を順番通りに効かせる」という強制的な体験である。会場では携帯電話を専用ポーチに封入される。強制的なデジタルデトックスと情報統制。暗闇の中で、目の前には歌詞を表現したタイポグラフィだけが浮かぶ。
逃げ場がないから、聴くしかない。
すると不思議なことが起きる。
普段なら聞き流してしまう微細なブレスや、曲間の「間」の意味が、痛いほど伝わってくるのだ。もちろん優れた音響であることも貢献している。「この曲順でなければならなかった理由」が、理屈ではなく身体に入ってくる。スマホを奪われるという「不便さ」が、逆説的に「没入」という最高のUXを生み、体験の鮮烈度合いを高めている。
「映画館」化する音楽体験
考えてみれば、私たちは映画を見るために2,000円を払い、暗闇で2時間拘束されることを「娯楽」として受け入れている。音楽だけが「無料かつ自由」になりすぎていたのかもしれない。
リスニングパーティは、音楽体験を「映画館化」する試みだと言える。自宅のテレビより映画館のスクリーンの方が感動するように、AirPodsよりスタジオのスピーカーで、他人と空間を共有しながら聴く方が、作品の解像度は段違いに上がる。もちろん解像度が高い最高の体験を経験すれば、その作品に対する思い入れも高まる、事実私は、この「Lux」というアルバムを大好きになった。
「本人不在」という最強の拡張性
ビジネスモデルとしても秀逸だ。従来、ファンを熱狂させるリアルイベントには「アーティスト本人の稼働」が不可欠だった。しかし、ワールドツアーはインフレでコストが高騰し、チケット代も跳ね上がっている。
リスニングパーティには本人はいない。にもかかわらず、私が体験した東京会場は、まるでライブ終わりのような静かな高揚感に包まれていた。
本人が移動する必要がないため、世界中の都市で、同日同時刻に開催することも可能。時差を超えて世界中のファンが「同じアルバムを聴いた」という連帯感が生まれ、それがSNSでの爆発的なシェアに繋がる。実際、このブーストもあってROSALÍAの『LUX』はSpotifyグローバルチャートで1位を記録した。スペイン出身の歌手としては記録的ヒットである。
デジタルで「広く薄く」拡散するだけでは、もう心は動かない。フィジカルな空間で、誰かの1時間を深く「独占」する。その没入体験こそが、ファンを信者に変える。ちなみにお土産にトートバックをいただけたのですが、それもまた素敵なデザインで体験として良かったです。↓
累計5億食の廃棄食品を救ったアプリ「Too Good To Go」、日本上陸。「もったいない」精神と共鳴するか?
「もったいない」の国日本に遂に食品ロス削減アプリ「Too Good To Go(TGTG)」が上陸。ローンチ時点からファミマやNewDays、クリスピー・クリーム・ドーナツなどが参加し、廃棄寸前の商品を安く購入可能。
このアプリ、単なる「値引きプラットフォーム」ではなく…廃棄という不確定要素をビジネスにするための、「不便で便利」なビジネスデザインが面白いんです。
イギリスで実際に体験した「パンとの格闘」
実は以前、イギリス滞在中にこのTGTGを使ってみたことがある。アプリを開くと、Googleマップ上に提携店がズラリと並ぶ。中には行列のできる有名ベーカリーや高級カフェも普通に入っているのにまず驚く。ただ人気店の「Surprise Bag(詰め合わせ)」は一瞬で売り切れる。
幸い、宿泊ホテルの運良く近所のベーカリーのバッグを確保できた。価格はたしか5ユーロ(約800円強)程度。指定された閉店間際の時間に取りに行くと、店員さんがずっしりと重い紙袋を渡してくれた。
いや……重!!明らかに800円の重さじゃない。家に帰って開けてみると、テーブルを埋め尽くすほどのパン、パン、パン。クロワッサンにバゲット、甘いデニッシュまで、到底一人では食べきれない量がもりもり。こりゃあスゴイ。インフレ時代には福音といってもいい。
廃棄食材の詰め合わせなので中身は完全にランダム。甘いものだけかもしれないし、ハード系ばかりかもしれない。「明日の朝ごはんに」なんて可愛いレベルではなく、「どう消費するか」という戦略が求められる。戦略的にお得×消費を考えるのはコストコに似ているかも…?
僕は慌てて町中にある成城石井的存在、M&S(マークス&スペンサー)に走り、美味しい発酵バターを買い込んで(欧州では日本で大人気かつ高級な発酵バターが超安いのだ)、滞在3日間で少しずつパンを食べ進めた。ハムやサラミを挟んでみたり。朝食を節約できただけでなく、「これだけの食料をレスキューしたんだ」という妙な達成感と、得体の知れないガチャ感、かなりエンタテイメントな体験だったとも言えるかもしれない。
「サプライズ」という名の免罪符
この体験こそが、TGTGの最大の発明。
商品はすべて「Surprise Bag(中身はお任せ)」として提供される。
店側にとって売れ残りは予測不能なもの。「クロワッサンがあと3個、バゲットが1本」といちいちアプリに入力していたら、オペレーションが崩壊する。しかし「パンの詰め合わせ袋」という曖昧な枠なら、その時残っているものを詰めるだけでいい。
ユーザー側にとっても、この「不便さ」は機能する。「選べない」ということは、逆に言えば「選ばなくていい」ということ。そして何より、福袋を開けるガチャ要素が、残り物を買うという行為に強力なエンタメ性を付与する。ラッキーもあれば、期待がカラぶることもある。もちろん前提としてとっても金銭的にはオトク。
日本独自の「摩擦」をどう超えるか
とはいえ、あの欧州での「豪快な体験」が、そのまま日本で通じるかは未知数。
僕が体験したイギリスの店舗では、「食えればいいだろ!」と言わんばかりの量と、「何が入ってるかはお楽しみ」という大らかな合意があった。一方で日本の消費者は世界一「品質」にうるさい。
アレルギーはどうするのか。嫌いな具材だったら捨てるのか。消費期限に対する厳格な意識を欧州流の自己責任論で突破できるのか。世界一の「もったいない大国」である日本でのコミュニケーションはややセンシティブかもしれない。
「正しいこと」を「楽しいこと」に
TGTGが使えるファミマでは「涙目シール(助けてくださいシール)」が話題になった。日本人には本来、情に訴えかけられれば応える義侠心のようなものがある。TGTGが提供するのは、そのデジタル版であり、エンタメ版と言えるかもしれない。
「ガチャが楽しいから、有名店のパンがお得だからやる」楽しいSDGsの社会実装。「正しさ」だけでは人は動かない。「欲」や「楽しみ」をテコにして社会課題を解決するこの設計がどう受けるか楽しみです。
日本で一番タクシー広告を作っている制作会社が教える、失敗しないタクシー広告のつくりかた
BtoBマーケティングでは不可欠になったオフライン広告のタクシーAD。タクシー広告黎明期から作り続け、日本で最もタクシー広告を作り、効果を出し続けている制作会社antsによる「失敗しないタクシー広告の作り方」がまとまっていたので、10本以上タクシー広告を企画している私の視点も加えてTipsとしてお届け。
タクシー広告が向いている企業、向いていない企業
まず相性が良いのはBtoB企業。BtoBはLTVが高いケースが多く、CPAが多少高くても成立させやすい。顧客が都市部に集中し、タクシーの乗客はビジネス層が多い。この2つの特性が噛み合う。
ではBtoCでは成立しないのか?そんなことはない。例えば富裕層向け商材は相性が良い。
ポイントは「単価(またはLTV)が高い」「比較検討が起きる」こと。検討型の高価格商材は、タクシー広告を「認知の入口」として機能させやすい。
一方でタクシー広告は、見たその場でクリックして購入、という短距離走の導線ではない。単価が低いほど回収が難しい。
クリエーティブでの黄金パターン——「共感→課題→解決→次の行動」
BtoBの意思決定は「解決したい課題」から始まる。だからこそその課題に対する共感を得ることが絶対に必要。「こういう状況、ありますよね?(そこには課題がありますよね?)」と課題を言語化し共感を得る。そのうえで解決策を提示し、最後に次にすべき行動へ誘導する。
ただし「課題→解決」を提示しただけで成果が出るわけではない。タクシー広告の役割は「認知の入口」。指名検索、資料請求、展示会、営業接点など、次のアクションに接続して初めて効く。受け皿(LPや問い合わせ導線、営業/インサイドセールス)を放映時に全て整える設計はマスト。
30秒の設計——メッセージは1つだけ
タクシー広告の特徴は、その視聴環境。移動中という空き時間に、かなりの至近距離で見てもらえる。この特性は唯一無二。仕事中の移動であれば脳が「ビジネスモード」なので共感にも繋がりやすい。まず、この30秒を見終わった後に何を持ち帰ってもらうかを考える。視聴者の記憶に残せるメッセージは基本的に1つだけ。多く盛り込みたがる人もいるが、その場合はクリエーティブのパターンにした方が良い。次に重要なのが字幕。車内が静寂ではない場合が多く、深夜早朝は自動で音声オフになるのが仕組み。字幕をただの「音声の文字起こし」にするのはもったいない。人は映像と字幕を同時に見ることができる。テレビCMは「音」が重要だが、タクシー広告では字幕テキストと映像の双方で効かせる情報設計にするべき。最後にフリークエンシー(接触頻度)。タクシーに乗る人は週に何度も乗る。そこで流れる広告は週間で約20本しかない。従って同じ人が繰り返し同じ広告を見る可能性が高い。強い刺激で一回だけ刺すより、繰り返し見ても嫌にならない設計の方が結果が出やすい。
芸能人起用は必要なのか?
よく聞かれることだが、芸能人を始めとする有名人の起用は必ずしもマストではない。どちらかと言えば上述したメッセージ設計および、タクシー広告に最適化されたクリエーティブ企画の方がはるかに重要である。ただし、もちろんアテンションのひとつとしては強いし、例えばLPや展示会など様々な場面で「顔」になれるというBtoBマーケティング全体の設計では存分に活用できる場合がある。
コロナ以降タクシー広告が重要な接点になって以来、弊社でも10本以上のタクシー広告を手がけています。この制作会社ants、クリエーティブディレクター北尾昌大と組んで、メッセージ設計から制作、バイイングまで一気通貫してできますので、タクシー広告を活用したい場合はぜひ気軽にお問い合わせください。https://manage4.com/contact
前週のマーケティングジャーニー!
実は私、Podcastもやってます!元テレビ朝日アナウンサー、現令和トラベル役員の大木優紀さんと2人でマーケティングトレンドや旅について(ほぼ)毎週30分~40分のコンテンツをお届け。
最新回のテーマはテーマ「顧客接点を制する者が、市場を制す - "どこで出会うか"がブランドの価値を決める」。どこで売るかが勝負の分かれ目。売り場の工夫でビジネスを突破する考え方です。
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源泉かけ流し!今週のマーケティング関連トピックス(今週は12個ご紹介!)
ドクターペッパーのテーマソング作ってみた笑
ふつうの人が適当に考えたドクターペッパーのざっくりテーマソングがバズり、
後から公式がCMに本当に採用するという「文脈マーケティング」
さらに別の企業からもCMソングのオファー。
愛されブランドである前提だが
「公式発信」ではなく
「ふつうの人のクリエーション」の方が価値になってる。
Apple Fitness+、ついに日本へ YOASOBIや国内・K-POPの人気楽曲と日本語AI音声で理想のワークアウト
ついに日本上陸したApple Fitness+。
日本のウェルネス市場を面で取りに行くアプローチ。
Watchで計測し、Apple TVに心拍を表示し、Musicで好きな曲を流す。
ハードとソフトを握っているAppleにしかできない「エコシステムの暴力」的な囲い込み。
Adoや藤井風を揃えて本気。
さらば秀才、鍛えろカラダ AI時代備え月10万円保育園に殺到
AI全盛時代だからこそ
「月10万の運動系保育園」がキャンセル待ち。
知識や正解はAIが秒で出す。いまのお子さんが大きくなる時代ならなおさら。
だからこそ、身体感覚や生きたい動機、他者との摩擦といった「実体」を持つことの価値が爆上がり。
頭脳偏重から肉体と感性重視への価値観変化。
欧米人に刺さる部屋、アジア人に刺さる部屋。写真で「客層」はコントロールできる
「欧米人の宿泊客を9割にする方法」という民泊の写真のコツ。
このロジックが非常に面白い。
カギは「部屋の明るさ」と「瞳の色」
欧米のゲストは薄暗い間接照明を好み、アジアのゲストは部屋中を明るくすることを好む。
これは文化だけでなく、瞳の色素に関係がある。
色素が薄い欧米人にとって、日本の蛍光灯のような直接照明は眩しすぎて不快。
だから間接照明=くつろぎ、になる。
面白いのは、これが予約サイトの「写真」の見せ方に直結すること。
・欧米人:陰影(雰囲気)を見て、「ストーリー」を買う
・アジア人:明るさ(情報)を見て、「清潔感/ファクト」を買う
つまり、写真の陰影を強くすれば欧米人が反応し、フラットに明るくすればアジア人が反応する。照明と写真のトーンを変えるだけで、言語の壁を超えて客層をフィルタリングできるというわけ。
仮に欧米人に多く泊まって欲しかったとしても、明示的にそんなことを書いたら炎上のもと。だからこそ写真でコントロール。
「いい写真」や「快適な空間」の正解なんてないわけで…
あるのはターゲットの「瞳」にどう映るか。
埼玉で一番「様子がおかしいスーパー」みどりスーパーの素晴らしさを語りたい
埼玉県最驚?の様子がおかしい地域スーパー。
クセ強すぎて面白い。
でもこれ、差別化戦略としても、商品戦略としても理に適っている。たった1店舗の生存戦略。
基本的にほとんどのチェーンスーパーは効率化を追求した画一化をしている。本部主導の品ぞろえ、POP。
一方でこの「みどりスーパー」は
・店員の主観が入りまくったPOP
・埼玉自虐を活用したオリジナル総菜
・売れるか分からないけど仕入れた偏愛商品
・「本日の謎汁」という無料試飲(魚のアラなどを活用)
などセオリーを無視したやりたい放題にみえる。
でも、埼玉自虐商品は差別化が難しい総菜をネーミングで独自商品に仕立て上げているし、やたら押しの強いPOPは店内を回る楽しさを演出する。
無料の日替わり「謎汁」は何度も訪れる人への感謝と楽しみになる。
地域スーパーは地域のリピーターに愛されるのが最重要。より泥臭い「人肌」をクセで生み出した独自ポジショニング。
部品代を値上げしたいなんて、トヨタに言いにくい。
変わる企業の広報戦略:トヨタの「オープンレター」
企業の広報戦略が、明らかにフェーズを変えつつある。
トヨタ自動車のX投稿が大きな反響になった。
赤い文字で大きく「部品代を値上げしたいなんて、トヨタに言いにくい。」というキャッチコピー。
トヨタの意見であり、これをしっかりとコピーライティングした「意見表明」がメディアを通してではなく、Xを経由して発表。
非常に情緒的な表現を入れた文章になっている
本来、発注側であるトヨタがオープンに言うことは少ない「受注側(下請け)」が抱えているであろう心理的ハードルを、トヨタ自身が代弁することで、「私たちはあなたたちの痛みを理解していますよ」というメタメッセージを送っている。
「誰」に向けた手紙なのか
この投稿、形式上は「6万社の仕入先」に向けたメッセージになっている。
でも、本当に業務連絡ならメールなどで送ればいい。それをあえてXという、誰もが覗き見できる場所で、デザインされたクリエイティブとして展開する。
つまりこれは、「仕入先と良好な関係を築こうとしているトヨタ」を、生活者や投資家に見せるためのアクションでもある。BtoBのやり取りを見せ、ブランドイメージを構築する「オープンレター」になっている。
マスコミとの「ナラティブ戦争」
もう一つ、見逃せない文脈がある。
この投稿はゼロからの発信ではなく、Xのリポスト機能によって投稿されている。共同通信の報道(を紹介するNewspicks)のX投稿に対してリポストで投稿されたかたち。
記事では「5.1兆円の負担増」という事実は伝えつつも、子会社の下請法違反認定などを挙げ、「対応は道半ば」と締めくくっている。
トヨタの投稿は、これに対する明確なカウンターだろう。
「道半ばなんて言わせない、我々はこれだけの想いで、5.1兆円も負担しているんだ」と。
かつてなら、企業はマスコミの報道に対して、記者会見を開くか、訂正を申し入れるしかなかった。でも今は違う。トヨタイムズに代表されるように、トヨタは自社で強力なメディア機能を持っている。
マスコミという「歪むかもしれないフィルター」を通さず、自社の言い分を、自社独自の表現で、直接世間に届けることができる。
「きれいごと」への嗅覚
ただ、この戦略が万能かというと、そうでもないのが今のSNSの面白いところ。
投稿のリプライ欄や引用を見ると、「良い姿勢だ」と称賛する声と同じくらい、「現場の実態は違う」「下請けいじめはなくならない」といった冷ややかな反応が並ぶ。
生活者はもう、「企業の公式発表」をそのまま鵜呑みにするほどナイーブじゃない。
演出された「いい話」であればあるほど、「裏があるんじゃないか?」「きれいごとで蓋をしていないか?」という嗅覚が働く。
マスコミへの不信感は広がっているし、オウンドメディアの重要性は増している。でも、だからといって「企業の発信=真実」になるわけでもない。
企業がメディア化して雄弁になる時代だからこそ、それに対して「本当にそうか?」と問い続けるメディアや、違和感を表明する生活者の存在が必要になる。ある種の「三権分立」的な緊張関係が保たれていることが望ましいと感じる。
広告費0円、1年間で500社にBtoBサービスを導入したグロース施策のご紹介
「広告費0」という売り文句は眉唾なパターンをよく見るが、本当にBtoB立ち上げ500社を実現した事例をご紹介。
eギフトSaaSのAnyGift。
・プロダクトローンチのプレスリリースを山にするべく、地道にリリース紹介後のシェアを50人に依頼する
・サービス利用導線に自社と自社サービスの説明を入れ込む
・被リンクを顧客から常に受けるスキームにする
・顧客側やプラットフォーム側のプレスリリース側を手伝って出す
かなり泥臭く面を増やすアクションがBtoBには効く
SNS炎上狙う「レイジベイト(怒りの餌)」、2025年の言葉に 英大学出版局
オックスフォード大学が決める2025年今年の単語は「レイジベイト」
近年、インターネットの空気が変わった、と感じている人は多いはずだ。あまりよくない方に。その正体が言語化された。
毎年、オックスフォード大学は年末に「今年の単語」(Word of the Year)を発表している。
3万人の専門家が投票して決ま2025年を象徴することば、「レイジベイト」って何なのかを解説します。
レイジベイトの意味は「意図的に怒りや反感を引き起こし、エンゲージメント(反応)を稼ぐコンテンツ」のこと。主にオンライン上でインプレッションを稼ぐために使われる行為です。
(悲しいことに)「怒り」の方が燃料になる
かつてのインターネット、特にSNSは「好奇心」が強かった。
「衝撃の結末とは?」「〇〇がすごい理由」といったタイトルで、クリックを誘う。中身が伴わない釣り、ハック的な活用法も多かったが、行動の源泉は「見たい」というポジティブ(あるいは能天気)な欲望だった。
しかし現代、人は皆、アルゴリズムに飼いならされている。アルゴリズムは新たな「餌」を発見してしまった。
人間を最も効率よく動かし、コメントを書かせ、シェアさせる最強のトリガーは、好奇心ではなく「怒り」を刺激することだった。
政治的な極論、マナー違反の動画、賛否両論を生み出すような言説や行動。
これらは計算された「餌(Bait)」としてSNSに展開される。
私たちは強い言葉には思わず正義感が発揮される。「それは違う」「許せない」と反応してしまう。その極論は、別の見方を持つ人も強く反応する。この連鎖によってエンゲージメントが稼がれ、SNSのアルゴリズム上でおしあげられ、私たちに「おすすめ」される。
「Brain rot」から「Rage bait」へ
興味深いのは、2024年の言葉が「Brain rot(脳の腐敗=無意味なコンテンツの過剰摂取による思考停止)」だったこと。
2025年のM-1グランプリを準優勝したドンデコルテは、ネタ「デジタルデトックス」の中でまさにこの現象を説明していた。自分と向き合うのが怖いなら、スマホを触って「スワイプスワイプ」。
何も考えず、気持ち良いコンテンツもインプレッションを稼げるが、近年のSNSアルゴリズムはより、コメントなどのエンゲージメントを重視する。
怒りを呼ぶコンテンツは、エンゲージメント「とされるもの」を稼ぐのにあまりに効率が良いのである。
虚無と怒りのコンテンツ。今のソーシャルメディアにあふれるコンテンツのこの二極化は、精神衛生上あまりによくない。居心地が悪くなるのも当然の話。
リアルの価値は「治安」になる
この流れを見ると、昨今リアルでの「体験」や「コミュニティ」が見直されている理由が痛いほどわかる。
少なくとも日本においては、現実の方が圧倒的に治安が良い。怒りを煽り、分断を促進するよりも、近い感情や嗜好を持つ人で集まった方が居心地が良いのは当然である。
アルゴリズムは簡単には変わらないが、人間が疲れてきているのは明確。2026年は画面の中の怒りから距離を置き、自分の感情の主導権をアルゴリズムから取り戻すことを目指す人が増えるかもしれません。
ブームの秘密はライブハウスにあり⁉ 若者に広がる「お茶割り」人気の真相を探る噺
以前紹介した「ライブハウス周辺で若年層×お茶割が人気」という話題の追跡記事。
実際にライブハウスやアーティストへも取材。
お茶割の人気を分解すると…?実に「いま」的なお酒だとわかります。
・コロナ禍を契機に、居酒屋が退潮する中で「ゆるっと語りながら飲めるもの」としてちょうどいい
・アーティスト的には糖質ゼロで太りにくく、かつ歌っている/しゃべっている時に飲んでも、酔い過ぎず炭酸で腹も膨れない
・安定した味(ビールはサーバに左右される、レモンサワーはレモンが必要でライブハウスではなかなか難しい)
・レトロで大人感が漂う
電通が1億人規模の高解像度なペルソナをAIで再現、新リサーチツールを運用開始
電通がリリースした「People Research」
「1億人分の仮想ペルソナにデプスインタビューできる」という触れ込み。
ただこれ、定性調査の代替というよりは、n=1視点での仮説検証を高速化することに役立ちそう。
定性調査(N1分析)は、リクルーティングと実施に数週間かかる「重い」業務。
ほとんどの企業にとって、リソース的にも時間的にも気軽に仮説検証に使えるものではない。
従って本サービスを使って仮説の千本ノックをし、絞り込んだ上で定性調査で研ぎ澄ましていく。といったアプローチが増えてくるかもしれない。
ちなみに汎用LLMと何が違うのか?と思うが、ここが電通の秘伝のタレ、電通独自の「d-camp」などの大規模調査データなんdすね。
新成人500人調査
新成人への調査。
驚きなのは「日本の政治に期待できる」が56.6%で、前年の2.7倍に急上昇。
新政権への期待だけでなく、政治体制の変化や、政治そのものへの注目度が大きく高まっている。
TikTok、XなどSNSを中心に政治の話題が広がりやすくもなっており、政治のコンテンツ化も背景にありそう。
ディズニー、夢の国から推しの国へ 中高年来場者が未成年上回る
来場者の層が変わり続ける東京ディズニーランド。
子どもと中高年の比率が逆転、更に海外客が増加し17歳以下よりも、インバウンド客が上回る。
ディズニーコンテンツ自体に触れるのは、サブスクなどでハードルが大きく下がった。
一方で体験価値を求める世代、お金を出せる世代が順調に増加。
明日から効く!マーケティング/ブランディング関連書籍レビュー
“未”顧客戦略 消費者の無関心から逃げない「記憶×習慣」の科学
日本で「エビデンスドマーケティング」を掲げてきたコレクシアの芹澤氏・村山氏による、「未顧客」シリーズの新刊。『ブランディングの科学』の議論に接続しつつ、日本の現場で使うことを意識した内容として目を通しておきたい一冊だ。
そもそも「未顧客」とは何か。ここでは、いまその商品やブランドを買っていない人を指す。消費者は基本的に無関心から始まる。加えて、既存顧客であっても自然に同じブランドに留まり続けるとは限らない。だから新規獲得は常に必要になる。
この前提自体は『ブランディングの科学』でも扱われている。しかし本書の中心は、無関心な人にどう「記憶」してもらうか、そしてどう「習慣」として定着させ、買い続けてもらうかを、実務の形に落として示す点にある。
とくに「習慣」を正面から扱うマーケティング書は多くない。そこが本書を読む理由になる。具体策としては、パッケージの設計、リフィルなど購入形式の工夫、売り場での見せ方、ゲーミフィケーションなど、習慣化に関して手を入れられる箇所は多い。
なかでも「習慣の不連続性」への着目が興味深い。ライフイベントなどで、それまでの選好や購買習慣がいったんリセットされる局面がある。そこに合わせて、新しい選択肢として想起されやすい状態を作る。たとえば出産を機に、おむつブランドの選び直しが起きやすいタイミングへのアプローチ。古い例ではパンパースがよく知られている。重要なのは、単に接触回数を増やすことではない。どこで不連続が起きるのかを観察し、その局面に合わせて設計することが手がかりになる。
一方で、エビデンスに基づくマーケティングは、従来のマーケティング的定説と異なる…どころか正反対なことも多い。なので導入時に理解を得にくい場面も出やすい。だからこそ本書は、社内で考え方と具体策を共有する材料としても使える。
海外現地調査レポート:発電所の再開発、ロンドンのバターシー地区。象徴建築を中心とした「新たな公共」の創生
バターシー地区はロンドンのテムズ川南岸にあり、近年ロンドンで最注目とも言われている再開発エリアです。この地区の象徴はバターシー発電所。世界最大級のレンガ建築とも言われ、巨大な4本の煙突が象徴。なのですが、現在は発電所として使われているわけではありません。1980年代に発電所としての役目を終え、再開発によって現在は巨大な商業施設に生まれ変わっており、煙突の1つは展望台になっています。
この象徴的な施設を中心に、東京ディズニーランドよりも大きい敷地を誇る公園、居住エリア、オフィスなどが合わさった複合地区として再開発をされており、デザインされて作られた街並みの完成度が面白い場所。アクセスのよいバス駅・鉄道駅も揃っており、テムズ川のリバーウォークから民間における産業遺産の再開発、そこに住まう・はたらく人々の呼び込みによる「生きて進化する街並み」が楽しめるのもポイント。ロンドンに訪れたらぜひ行ってほしい気持ち良い場所なんです。
バターシー発電所の商業施設建築としても面白く、例えば「コントロールルームB」という目立つ場所にあるバーは、まさにもともと発電所の指令室があった場所にあるバーです。発電所らしい光を活用したインテリアデザインも良い感じ。前述の通り、かつての煙突は展望台になっており「煙突を登り、ロンドンの街を眺める」体験ができる場所に生まれ変わっている。商業施設としてはエッジの効いた店舗が存在するというよりも「知覚に合ったら嬉しいブランド」が揃っている。目的地としての商業施設というよりも、その地域に関わる人々にとって確実に使える場所、として100以上のショップが存在します。なんと開業1年で来訪者が1,100万人超と大成功になっており、観光客のみならずローカルのリピート利用が多いことがうかがえます。
以前紹介したアマーバッケ(コペンハーゲンの廃棄物発電所)や、同じロンドン沿岸部にあるテートモダン(火力発電所を現代美術館に生まれ変わらせる)など、欧州を見ていると都市に近い発電所の再定義、再利用している実例を見かけます。発電所というものは、都市を支える象徴であることから産業遺産的な文脈があり、一方で教会などのように扱いがセンシティブでもないので、ヘリテージとしての利活用がしやすいのかなと。明らかに公共物でありながら「いじれる」ことが結果的に再開発の強みになりやすい、ということかもしれません。
偏愛!なんでもインプットコラム
歴史漫画界最速!?の超絶スピード展開『ハプスブルク家の華麗なる受難』
久しぶりに今回はマンガをご紹介。その名の通り『ハプスブルク家の華麗なる受難』は、神聖ローマ王国の全盛期を支えたハプスブルク家500年の歴史を爆速で追いかける作品です。
この一巻だけでもハプスブルク家は5代以上代替わり。年代的に比較的短命であるだけでなく、戦争や疫病、寒波など様々な要因が相まって、ハプスブルク家や教皇などの登場人物はめまぐるしく変わっていく、そのダイナミズムをポップに書いているのが面白い。いま現代から振り返ってみると、ハプスブルク家の全盛期はまさにウィーンの豪奢なあり様をみるのが分かりやすいように、圧倒的なものだったと感じます。しかし、実際はハプスブルク家のはじまりはスイスの小さな領地を持つだけの貧乏な領主。ここから様々な要素がかみ合って、気が付けばゆるぎなき神聖ローマ皇帝になっていく。スタートからは想像できない、そして不思議な欧州における中世のドタバタは、実際にこうしてポップに仕上げてくれていても??となることが多い不思議な世界です。日本史で言えば未だに諸説あるというか、意味がよくわからないと言われている応仁の乱みたいなものでしょうか。
それにしても歴史漫画市場最速?とも言えるスピード感で主たる人物が入れ替わっていく展開は非常に面白いです。覇権を握りそうな人々が次々と死んでいく。しかも小領主たちが本気で政治闘争も辞さない時代のため、いざこざの物量もとんでもなく多い。このマンガはハプスブルク家を主眼に描いているので、省くべきところは薄味にするなど、やりすぎないメリハリが読みやすさを担保しています。
知識としてはココに出てくる様々な事象を断片的に知ってはいるものの、体系的に理解したことは全くないハプスブルク家と中止画のお話。ポップにサクサクとまとめられていますが、この「整理力」はただモノではないと思うんですよね。ネタの取捨選択が達人の域なんです。同じ形式で色んな歴史を眺めたくなる「爆速歴史大河コミック」でした。
今週の1曲
Mono (Feat. skaiwater) i-dle 左右じゃなく、中心。テイストを大きく変えたミニマルな新曲
K-POPアイドル、i-dleの2026年一発目の曲は、これまでQueencardなどに代表されるような華やかで強い曲を送り届けてきたi-dleのスタイルと大きく変化し、イギリス出身のラッパーskaiwaterとコラボした曲になっています。ミニマルなビートと、シンプルで力強いメッセージ。K-POPアイドルにとっては節目の再契約を行い、一般的なアイドル像にとらわれないスタンスはグローバル人気の強いi-dleの第二章らしい雰囲気、いうなれば「マチュアに正当進化」している印象。
そもそもi-dleのこれまでにおける一貫したテーマは「(いろいろあるけど)強く生きるワタシ(主に女性)」だった。この曲は明確に主人公たる「私」よりも主語を「みんな」に広げている印象があります。(from the right,from the leftとか、East or West、Straight or gayという歌詞がサビに)。MV時代の演出もモノクロ貴重、大人数ダンサーを入れた幾何学的な動き。やや歌詞が直截的すぎるのでは?という批判もあると思いますが、ストレートにこの方向へ挑戦しているのは個人的には好ましさがあります。おススメ!
最後までお読みいただきありがとうございます。もし内容が良ければ登録ボタンより、次回のニュースレター配信をお待ちください。
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