「史上最も“遅い買い物”を提案する理由。&SNSを席巻するSpotify「まとめ」の脅威の仕組み 25年12月第2号
忙しいあなたのためのマーケティング情報サプリメント。週に一度、厳選されたトレンドと洞察をまとめていきます。これを読めば「主要なトレンドをキャッチできる」、そういった想いで届けてまいります。まずはご登録をお願いいたします。
マーケティングトレンドインプット 今週のクイック解説3選
「史上最も“遅い”買い物」ノルウェーの香水ブランドが提案した森の中の無人ショップでの買い物体験とは?
スウェーデンのフレグランスブランドが、「時間」で香水を売る
スウェーデンのフレグランスブランドKØYIAが、森の中に無人ショップ「The Perfumery」を設置した。住所はなく、案内されるのはGPS座標だけ。店舗で扱うのは香油で、オンラインでは599スウェーデンクローナ(約9,900円)で販売されている。しかし、この店舗ではお金は要らない。代わりに求められるのは、599秒の滞在時間。
10分間、何もしない時間が対価になる
来店客はスマホでチェックインし、599秒のカウントダウンを開始する。約10分間、森の静けさの中でただ過ごす。時間が経過すれば、香油を受け取れる。なぜこんな仕組みなのか。都市生活者は常に「接続」している。通知が鳴り、メールが届き、SNSが更新される。自然と触れ合う時間はなく、立ち止まる余裕もない。生活者にとって「時間」はある意味、お金より重要な価値になりつつあるかもしれない。ブラックフライデーに象徴されるように、世界は「もっと早く、もっと多く、もっと安く」とあらゆる接点でプレッシャーをかけてくる。KØYIAのデザインチームは、その逆を仕掛けた。お金ではなく、時間を対価にする。しかも店舗に行くこと自体に時間がかかり、半強制的に自然の中に入り、触れ合う設計になっている。
購買を、儀式に変える
これは単なるポップアップストアではなく、もはやブランドにとっての儀式であり巡礼と言える。森に入り、GPSで店を探し、10分間何もせず過ごす。この面倒なプロセスを踏むことで、顧客はブランドに対する特別な体験を蓄積する。手に入れた香油は約10,000円かもしれないが、その思い出ははるかに大きな価値を生み出している。同時に、このブランドが何を大切にしているかも伝わる。速さや効率ではなく、静けさと時間。この哲学が、購買体験そのもので示されているよね。
体験を、商品の一部にする
この事例が示すのは、購買プロセスそのものを商品化する発想だ。商品は香油だが、本当に売っているのは「森で10分間過ごす体験」。時間を対価にすることで、商品と体験が混ざり合う。香油を使うたびに、森での10分間が思い出される。商品のスペックが横並びになる中、差別化は体験でしか生まれない。KØYIAは購買プロセスを儀式化することで、10,000円の香油に(しかもオンラインショップで買えるもの)に特別な意味を与えた。どんどん買い物が便利になる中で、逆に不便さが価値になる。不便益の価値。簡単に手に入るものは、簡単に忘れられる。手間をかけたものは、記憶に残るということ。
Amazon Prime VideoのAI吹替が、なぜ炎上したか
Amazon Prime Videoが、アニメ「BANANA FISH」の英語吹替にAI音声を使用し、炎上。予告なく実装され、ファンから批判が殺到した後、AI音声は削除された。問題は、AIを使ったことではなく・・・使い方とプロセスが、大きく誤っていたこと。
「初めての公式選択肢」が、AI低品質版だった
BANANA FISHは2018年に日本で公開されたアニメで、元は少女漫画。アニメに関しては英語吹替が存在せず、ファンが長年待望してきた作品。ハードボイルドな世界観と繊細な心の機微を描く作品であり、吹替をする場合には高い質が求められる。そこに、予告なくAI音声が実装された。(Beta版と明確に記載されてはいたが・・・
ファンにとって「初めて与えられた公式選択肢」が、AI低品質版だった。これはIPに対する侮辱と受け取るファンが多いのも無理はないだろう。BANANA FISHは特に熱量の高いファンダムを持つタイトル。パイロット版として選ぶには、リスクが高すぎるIPだった。
声優への説明なき実装は、裏切りと受け取られる
英語声優にとって、アニメの吹替は重要な収入源でありクリエイティブな仕事の場。AIに仕事を奪われただけでなく、適切な説明のないまま実装されたことが、関係性への裏切りになった。対照的に、アニメ配信のクランチロールは明確な姿勢を示している。「AIをクリエイティブプロセスには使わない」「声優は物語に貢献するクリエイターだ」と明言し、ファンと声優との関係性維持を図っている。動画サブスクリプションサービスは代替するサービスも多い。独占コンテンツでなければ「ここでしか見られない」場合は少ない。結果的にファンは安さや見やすさだけでなく、IPへの愛情も重要視する可能性はある。
AIの是非ではなく、プロセスの問題
エンタメとクリエイティブは、人の感情を動かす世界。感情が絡むからこそ、AIの導入には慎重さが求められる。
問われているのは「AIを使うか使わないか」ではないと思っている。「どの部分に、どの順番で、誰と合意して入れるか」が大切。プロセス、ガバナンス、説明責任。これらが欠けていれば、どれだけ技術的に優れたAIでも炎上する可能性は高い。Amazon Prime Videoは多くのコンテンツを抱え、多言語展開のコストは膨大。AI活用は自然な選択肢だろう。それが絶対NGだということもないはず。しかし、熱量の高いIPに予告なく実装し、関係者への説明もなかった。これが失敗の本質。
感情が絡む領域では、透明性が重要に
エンタメ企業がAIと向き合う際、技術的可能性だけを見てはいけない。まず、ファンと声優に対して透明であること。AI導入の意図、範囲、プロセスを事前に説明する。次に、熱量の高いIPは避ける。パイロット版なら、リスクの低い作品で検証すべきだ。そして、フィードバックを受け入れる姿勢を示した方が良い。ファンとの対話である。クリエイティブ領域でのAI活用は、技術導入ではなく関係性の再構築が重要となる。ファンも声優も、AIそのものを全否定しているわけではない。しかし拙速な実装と足りないコミュニケーションは、信頼を破壊しうる、そんな事例ではないだろうか。
2026年の旅行トレンド:サルベージステイと、ファームステイ
2026年の旅行トレンド:「どう泊まるか」が主役になる
Expediaが発表した2026年の旅行トレンドによると、宿泊スタイルに大きな変化が起きている。注目されているトレンドは以下の2つ。
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サルベージド・ステイ(Salvaged Stays):歴史的建築や公共施設をホテルに転用
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ファームステイ(Farm Stays):農場や牧場に滞在
サルベージド・ステイの実例
サルベージド・ステイには、すでにユニークな事例が世界各地にある。
ストックホルムの「Bank Hotel」:銀行本店の建物を改装
フランス・ロワール地方の「Fontevraud L'Ermitage」:12世紀の修道院を転用
スペイン・アラゴン州の「Canfranc Estacion」:国際鉄道駅舎をホテル化
イギリス・コーンウォールの「Bodmin Jail Hotel」:18世紀の刑務所を改装
刑務所、修道院、駅舎、銀行。こうした場所に泊まることは、単に「変わった部屋」に泊まる以上の体験になる。別の人生を疑似体験するような、ロールプレイ的な楽しさもあるかもしれない。
ファームステイへの関心が急伸
ファームステイに関しては、レビュー中の「farm stay」関連ワードの言及が2024年比で約3倍に増加している。欧州各地の農家や田舎のコテージ滞在への関心が高まっており、旅行者の80%超が「農場の敷地内や近くに泊まることに興味がある」と回答している。
都市観光から、スローで自然ベースの滞在へ。旅行に静かな変化が生まれている。
「どこへ行くか」から「どんな時間を過ごすか」へ
全体として2026年の海外旅行は、「どこへ行くか」以上に「どんな意味のある時間を過ごせるか」が問われるようになっている。ファームステイもサルベージド・ステイも、そうした意味性を強く持った滞在スタイルと言える。
大きな流れとして、ホテルが旅行の主役として存在感を増している。宿は寝る場所から、宿泊自体が物語のコア体験になり、デスティネーションになりつつある。
既にあるものを、ストーリーに変える
この2つのトレンドに共通するのは、もともと「あるもの」をベースにしている点。
サルベージド・ステイは、すでに存在している建物と、その建物にまつわる歴史や物語を編集してストーリー化。ファームステイは、日々の農作業と田舎の風景を、少しだけ「見せ方を変える」ことで滞在商品にしている。
どちらも新しいハコモノを建てているわけではない。サステナブルなアプローチとも言える。新しくキラキラした建物よりも、場所にまつわるストーリーが色濃い方が、魅力的な体験になる時代が来ている。
源泉かけ流し!今週のマーケティング関連トピックス(今週は12個ご紹介!)
patagonia Work in progress 2025 Impact report
本気でサステナブルに取り組むPatagoniaのサステナビリティレポート。
読み応えがスゴイです。なんと154ページ…
お題目だけでなく明確にバリューチェーン上のどこを改善しているか、何が途上かを数字で報告している真摯なアプローチ。
プレゼンの語り口としても大いに参考になる内容です。
「ちいかわと冬をたのしんじゃお!」キャンペーン!ちいかわコラボ商品のご紹介
新時代のIPコラボは文脈をしっかり活かした商品が勝つ!
セブンイレブン×ちいかわのコラボ商品は「草むしり」フィーチャー。
ちいかわの世界では草むしりが労働の一つであり重要なファクター。ふつうサラダを草扱いはしないが、ちいかわの文脈なら面白いネタとしてむしろ話題化する。
電通デジタル、リテールメディアがもたらす購買行動とブランド指標への影響調査
電通の買い物に関する調査。
非計画購買=買い物の際に予定になかった商品を衝動買いすること、が
どのチャネル
×
どのカテゴリー
で起きているか。
スーパー・コンビニでスイーツは衝動買いされがち。
ECモールでファッションが衝動買い。
こんなにスイーツって衝動買いされてるんですね。
アシックス、タイとスペインのマラソン大会登録会社を買収
アシックスがタイとスペインのマラソン大会登録会社を買収。
実はこのアクションはアシックスの継続的なアクション。そもそもアシックスは「ハイアマランナー全体」をマーケティングターゲットにしているんですよね。
ハイアマランナーのカスタマージャーニーを考えた時、重要な接点になるのは何か?
それがランニングの大会なんですよね。
アシックスは買収した出場登録サイトを活用する際に、アシックス独自のワンアシックスIDの登録をするフローにしている。
つまり世界のハイアマランナーが、ランニングに真剣に取り組む際に不可欠である大会に関わると、自然にアシックスのIDを持っている、という構造。
中小洋菓子店で“映える缶”がギフトの主役 宝石や刺しゅうを再現
クッキー缶をはじめとした「缶お菓子」が大手洋菓子店だけでなく、中小洋菓子店まで拡大。
菓子缶はこの数年ブームになっており、映えるスイーツとして、素敵なギフトとして多面的に人気。
店舗側としても缶にすれば単価を大きく上げることが可能。
僕の一押しは一枚目写真のシヅカ洋菓子店です。
博報堂生活総研所 生活者に聞いた"2026年 生活気分" を発表
博報堂生活総研所の2026年「生活気分」調査。
・来年の景気予想では「悪くなる」が45.2%とほぼ半数に。昨年より7.5%も増加し、調査開始以降この11年の最大値に。
みんなが景気が悪くなると感じているみたい。
悪くなると感じる理由は圧倒的に「物価上昇」が高い。
リアルに物価上昇の実感がある。
万博2億円トイレ設計者、炎上から一転人気 「美談にしてはならない」
万博のトイレ設計者、あるいはリング設計者のSNSにおけるPR対応による「自衛」について。
どちらも逆風を受けながら、丁寧に自らコミュニケーションすることで収拾、最終的には応援されるように。
過熱化するSNSでの広報ガバナンスの難しさは加速している。柔軟に、冷静に対応する重要性。
中高年に人気「0円カット」散髪アプリ 店も客も0円で大丈夫?【詳細版】
0円でカットができるサービスがある!?
0円を実現できている理由
・系列美容室の練習をしたい美容師がカットモデルとして募集
・実施店舗を固定せず、0円カットしたい人は指定の店舗に来る必要がある
・時間は通常営業終了後の21時以降
・カット中も先輩の指導が入ったり、店舗は掃除中など居心地は特に考えていない
ある種のマッチングサービス的な作りでwin-winの構造で店側も客側もコストはゼロ円な仕組み。
HIRO GINZA系列としては差別化が難しくレッドオーシャンな美容室業界で顧客との接点を作りやすく、さらに練習用のマネキン代もかからず実際の人の髪を切って練習ができる。
良い構造ですよね~
男性同士のプレゼントなぜ急増? 幸福度高める手段にも
「最近、誕生日プレゼントを贈った人」という質問に対する変化。
94年から30年で「男性が誕生日を送る対象」で男友達が3位から1位にアップ。
同性の友人との関係性が緊密化している。
「一緒にいて楽しい相手」の質問でも同性の友人が上昇。
友達関係の継続・確認の儀式としてのプレゼント。
Waymo Was Thriving in San Francisco. Then One of Its Driverless Cars Killed a Cat.
サンフランシスコで稼働する無人タクシーWaymo。
そんなWaymoが地域で愛される猫を轢いたことで自動運転の在り方が議論されるように。
もちろん人間の運転手による動物の死亡例はSFではwaymo以上の数百、毎年記録されている。
責任の所在、自動化へのアレルギー、問題の側面は多面的。
停滞続いたエビスが前年割れから復調 「高級」イメージが足かせだった理由
長く低迷していたエビスビール。前年割れから復調し、2024年以降は売上げが上昇中。
きっかけの1つがブランドを体現する施設YEBISU BREWERY TOKYO。
拠点があることでSNSシェアや取材誘致、また限定グッズの集中展開など効率的にアクションできるように。
ゲーミングモニターが若年女性に爆売れの謎 SNSで“声なき声”を拾う
「モニターの色」にこだわったこと、皆さんはありますか?
モニターのカラーバリエーションを作ることで3倍に増収したゲーミングモニターがある。
モニターは通常黒や白などのモノトーン。
女性ゲーマーが急増する中で、アガるアイテムとして接触時間の多いモニターにも色需要がある、という気づき。
海外現地調査レポート:コペンハーゲンのアマーバッケ ごみ焼却発電所 × 人工スキー場 という超最先端施設
正式名称は Amager Bakke。一般向けには CopenHill という名前で場所はコペンハーゲン中心部から直ぐにあるアマー島。港湾エリアの一角に突然現れる巨大な建物です。実際に現地に訪れて「登って」みました。
下記の写真が外観なのですが、全く見るだけではなんだかわからないですよね…なんですが、これ、廃棄物を活用した発電所であり、そして同時に都市公園にもなる人工スキー場なんです。何を言っているかわからないと思うのですが…実際そうなんです。
全景はこんな感じ。
設計したのは世界的に有名な建築集団BIG。機能的なインフラを建築的ランドマークに変換する試みとしてこのプロジェクトを位置づけ、本来山がないコペンハーゲンに「通称コペンヒル」という山を作り上げました。ちなみに2021年のWorld Building of the Yearを受賞するなど、世界的な建築物として評価されています。
ここで何が行われているのか?一義的にはこの施設は廃棄物を処理して発電する施設です。年間40万トンを超えるリサイクルできないゴミを焼却し、そこから地域の暖房と電力を同時に作り分配。ごみをエネルギーに変える役割を果たしているんですね。コペンハーゲンという年においてゼロウェイスト、そして炭素を可能な限り減らすという2つの挑戦を実現するためのサステナビリティ施設となっているんです。
でも、ゴミ処理施設と聞くと、そんな建物が地域にドンと立つのは住民は嫌ですよね?ごみ処理場が建設される際は日本でも世界でも反対運動が地域住民から起きるものです。だからこそBIGとコペンハーゲンはこの施設を愛される施設として設計したんです。それが屋上から全長400メートル、面積1万㎡の人工スキー場を「屋根」に作るということ。さらにもう一方には高さ80メートルのクライミングウォールもあり、世界一高いクライミングウォールとしても営業しています。さらに屋上には展望公園も。無料で屋上まで登れます。スキー場にはリフトが設置され、雪が無くても草スキーを楽しめますし、頂上まで登るトレッキングコースとしても地域住民に愛されているんです。実際、訪れた際は平日でしたが草スキーをする人や、トレッキングする人が結構な数いました。
この建物はコペンハーゲンの象徴的な建造物でもあります。コペンハーゲンは世界初のカーボンニュートラル都市を目指していて、その柱の1つがクリーンなエネルギー生産。この文脈においてアマーバッケは最大の環境プロジェクトです。さらに観光建造物としてももちろん注目。ゴミ処理場なのに、「自分の裏庭に合ってほしい施設」にデザインの力で変える。非常に面白い試みですよね。
みせたくないものを「来たい場所に変える」。ゴミ処理場に関しては「隠す」方向で設計される場合も多いですが、正反対のアプローチ。少しコペンハーゲン中心部からは遠いのですが、訪れた際は色々な考えが生まれる場所なのでおススメです。
明日から効く!マーケティング/ブランディング関連書籍レビュー
プロジェクト・ヘイル・メアリー アンディ・ウィアー
来年映画が公開される、現代SFの超名作、プロジェクトヘイルメアリーを今回はご紹介します。(あらすじ程度のネタバレも最小限にしているのでご安心ください)
ヘイルメアリーというのは追い詰められた際に託す捨て身のロングパスのこと。科学教師である主人公が宇宙で完全な極限状況に追い込まれる中で、細い希望をあきらめずトライし続け、そしてなんとか道を切り開いていく、全く先が読めない展開で飽きさせない見事な作品です。
作者であるアンディ・ウィアーは同じく映画化されている『オデッセイ』の原作「火星の人」がデビュー作。共に科学知識を駆使して困難を切り抜ける点は共通ですが、オデッセイは火星に取り残された主人公が生還を目指す「孤独」の作品だったのに対し、こちらは主人公が人類全体を救う使命を帯びているストーリーのスケールが圧倒的に拡大していることが特徴。
本書が面白いのは「わかりやすい敵」が登場しないこと。常に主人公の前に立ちはだかるのは人類の危機という「問題そのもの」。現実の世界でもなかなか我々の前に「分かりやすい敵」が出てくることは少ないと思います。だからこそ、この作品は現実に生きる私たちにも通じるような勇気と希望の一端を感じさせてくれるんですよね。希望を抱いて立ち向かうハードSFは意外と少ないので、その意味でもSF初心者にもおすすめできる作品でしょう。
ビジネスパーソン的には「巨大プロジェクト」を追いかける物語としても秀逸に読めます。期限は決まっている。リソースも限られている。でも前提はどんどん崩れ、トラブルはどんどん起きていく。最悪が全て揃ったぴょうなプロジェクトなんです。その中で主人公は常にその環境下の限定条件で「ベストな選択肢を選ぶ」試行錯誤を常に行っており、これが非常に面白いんですよね。荒唐無稽な必殺技で解決したりしない信頼感があるんです。
クリエイティブな読み方もできます。状況の切り抜け方のアイデアがこんな考え方もあるか!と驚くようなものばかり。でも先述のように必殺技などはないので、手元のリソースでなんとかする工夫の目白押し。しかもあらゆるものを利用する。
SFというと敬遠されがちかもしれませんが、ぜひ読んで欲しい作品です。かなりのボリュームなので、どう考えても映画で全て描写するのは難しいのでは、、と思っており、まずは小説をおススメします!
偏愛!なんでもインプットコラム
世界最強クラスのバズを巻き起こす、Spotifyのまとめ=Wrappedがシェアされるからくり
みなさんもXやInstagramで友人のシェアを見たことがあるんじゃないでしょうか。
毎年この時期=12月上旬好例のSpotifyの1年のまとめコンテンツ。2023年版 Wrapped だけで 2.25 億 MAU が参加、2025年版は ローンチ24時間で2億ユーザーが触って、シェア行動(DL・スクショ・アプリ内シェア)が5億件に到達(BusinessInsiderより)と驚異的な速度でWEBを彩る、この圧倒的なコンテンツ。数百億円規模の広告価値を生んでいると言われています。
なぜこんなに愛されるんでしょうか?
Wrappedのポイントは、「ユーザー自身が共同制作したコンテンツ」となっているということ。
データを分析してまとめてくれるのはSpotifyですが、そのデータの元となっているのはリスナーの視聴記録。リスナーとしてはただ聞いていただけ…ではあるものの、そのログがある種の成績表のように突然渡される。その「答え合わせ」的な面白さがWrappedにはあるんです。
Spotify側も年々見せ方を進化させていて、単なる再生回数の羅列ではなく、何を何分聞いたか、一番聞いた曲、アーティスト、ジャンル、と様々な切り口で見せている。音楽の好みはその人らしさを非常に鮮明に映し出します。これを見るだけで、自分ってこんな人だと診断されるような楽しみがあるし、シェアすれば私ってこんな人なんだと人にわかってもらえる切り口にもなる。・想像どおりでも「やっぱりな」と自己認識の確証が得られる
・想像と違っていても「え、そんなに聴いてたっけ?」と記憶と行動のズレが露呈して笑える
どちらに転んでも楽しい。だからこその「答え合わせ」なんですよね。
しかも音楽は本当に千差万別なので、人によって色合いが全く異なるのも面白い。
ゲーミフィケーション的な面白さもあり、例えば自分があるアーティストのトップ○%のリスナーです、という表示はファン心理からすれば「もっと聞こう!」と刺激されるようなきっかけにもなります。これはアーティスト側にもポジティブで、熱狂ファンが可視化されたり、感謝のきっかけになる(事実トップアーティストからは最近メッセージが来るようになりました)。ユーザーからは「熱狂の証明書」としての誇りになるわけです。
ちなみに僕のトップアーティストはNMIXXでした。本当に曲が良いのでぜひ聞いてみてください!
このWrappedが出るタイミングも絶妙だと思っていて、12月第一週という考えようによってはやや中途半端なタイミングと言えなくもない。ただ米国にとってはこのタイミングは11月末のサンクスギビング明けで、12月中旬以降の年末年始に向けて騒がしくなっていくタイミングの中でエアポケット的な瞬間なんですよね。いつ、と明確に決まっているわけではない中で突然ドロップされる。おかげで、12月1週目はSpotifyのもの、になっているわけです。
ちなみに今年追加された秀逸な施策がこの「リスニング年齢」。年齢というのは世界共通、世代共通の最強クラスのフォーマットですよね。自分が上でも下でも、別にリスニングに関する年齢なので楽しみながらシェアできる。実際私の観測範囲ではこのリスニング年齢のシェアが一番多かったように思います。
ちなみに私はK-POPオタク過ぎるので、年齢が20歳になってました。こういうのも意外なので思わずシェアしてしまいますよね。
Wrapped が抜きん出ているのは、①一年の行動ログを“自分の物語”に翻訳し、②アーティストを活用した所属感と自分ならではの独自性を同時に満たし、③シェアされる前提で UI を設計し、④年に一度の文化行事としてカレンダーにインプットしているという面白さ。もちろん圧倒的にシェアされることによって、Spotifyにとってももちろんポジティブ。
様々なサービスが同じような「まとめ」を出していますが、依然としてSpotifyが圧倒的であり続けるんだろうなと思います。
今週の1曲
High horse- NMIXX
ということで僕の今年のトップアーティストだったNMIXXの中で、一番聞いていた曲「High horse」をシェアします。
そもそもNMIXXはMIXPOPという独自のジャンルを1曲の中でまぜこぜにした曲をコンセプトとする非常に複雑なことをやっているグループなのですが、このHigh horseも非常に面白い曲なんです。NMIXXには珍しいスローバラードなんですが、ピアノと強いドラム、曲の感じとしてはK-POPアイドルに多いど真ん中バラードではなく、あえてR&B的な展開をしており、そして最終的には入トーン・ロングトーンでNMIXXのボーカル実力を見せつける、そんな感じの絶妙な作りになっているんですよね。
NMIXXの中では圧倒的に「静」な曲で、それにより実力がまざまざと感じられる。感情のこもった抒情的な感覚を一気にぶち込んでくれる。テクニカルで美しい。NMIXXらしい曲です。ぜひ聞いてください!
最後までお読みいただきありがとうございます。もし内容が良ければ登録ボタンより、次回のニュースレター配信をお待ちください。
最後に!
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