2026年のマーケティング・ブランディングトレンド8つを考察! 26年1月第1号
忙しいあなたのためのマーケティング情報サプリメント。週に一度、厳選されたトレンドと洞察をまとめていきます。これを読めば「主要なトレンドをキャッチできる」、そういった想いで届けてまいります。まずはご登録をお願いいたします。
2026年、いよいよ始まりましたね!
今年もこのニュースレターではマーケティング、ブランディングを中心にしながら、トレンドやカルチャー、海外先進事例や現地調査も織り交ぜながら、皆さんのインプットに役立つ要素をたくさん盛り込んでお届けします。こんなことをやって欲しい、こんなことを取り入れてほしい、というご要望ありましたら、Xなどにご連絡くださいませ。
いったんCMですが、私はmanage4という会社を代表として運営しております。 マーケティング・ブランディングを起点に、PR、プロモーション、新商品開発や顧客調査、データ分析など、幅広く課題をクイックに解決する、動きの良いチームとソリューションをお届けしておりますので、お悩みの際はお気軽に下記HPないし、私のXやFacebookまでメッセージくださいませ。
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さて、新年1回目のニュースレターである今回は、これまで2025年に弊社が分析したトレンドから、2026年のマーケティング・ブランディングトレンドを8つ、予想してみました。
トレンドの内容と、具体的な事例とともにお届けします。今年の皆さんの発想の一助に、お使いくださいませ!
1. グローバルニッチ巡礼:世界の「濃い1万人」にアピールせよ!
インバウンドが当たり前のいま。日本国内のマスに薄く広くより、世界中の「濃い1万人」を日本に呼び寄せるグローバルなニッチへ。広告より「行く理由」と「編集」が勝負。来訪そのものがコンテンツになる。巡礼の設計がキモに。
これからは「国内マスでの認知拡大」ではなく、「世界のニッチ熱狂層にとっての目的地化」が1つの戦略になる。SNSと越境ECで"好き"は国境を超えることが可能になった。一方で旅行コストは上がり、外出は厳選される時代に。だから人は「どこでもいい」では動かない。「この世界観に触れるために行く」という理由が必要となる。選択肢が多すぎる今、人は「自分に合う編集」を外部に求めている。性能比較より、意味・物語・コミュニティで意思決定する。結果、ブランドも施設も「薄い万人受け」より「濃い共感の密度」を取る方が効率がいいわけだ。熱狂する1万人はSNSで増幅し、言語を超えて巡礼を生む。
目的地化は、導線づくり
目的地化は"場所づくり"ではなく"導線づくり"。発見→予約→移動→体験→共有→再訪この流れの中で、摩擦を必要なところだけ残し、不要なところは消す。現地での体験が強いほど、帰宅後も続く余韻(写真、持ち帰り、コミュニティなど)が生きてくる。これに不可欠なのが編集力。
店舗は売り場ではなく、編集部になる
店・施設・イベントは、もはや売り場ではなく、編集部になっている。何を置くかより、何を組み合わせ、どう物語化し、誰をキュレーターに据えるか。棚は記事で、フロアは特集。商品は"読むもの/語るもの"になる。海外でも、体験やクリエイター起点のエコシステムに移る流れが出てきている。小さくても尖れば、世界から人を呼べる。しかも"濃い1万人"の声は、次の企画の編集指針にもなる。
具体的な事例3選
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渋谷PARCO:狙いは国内マスではなく「グローバルニッチ」。訪日客比率が伸び、商業施設を「メディア化」し、キュレーション自体を価値にしている
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星野リゾート 新ブランド「LUCY」:自然観光の伸びしろに対し、山小屋の「相部屋雑魚寝」などのペインポイントを快適化して参加障壁を下げ、すそ野を広げる。山の体験を「行く理由」に変えるこころみ
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アシックス(ハイアマ層のランナー):高アマチュアのランナーという「濃い層」にフォーカスしながらグローバルでターゲティング。タイ・スペインのマラソン参加登録会社を買収するなど顧客導線を抑えている
2. ピュア回帰:皮肉・炎上疲れの反動で「誠実さ」がエンタメになる
毒のある皮肉も、過剰な正しさも、日常摂取するコンテンツとしては重い。炎上疲れの反動で、2026は「誠実」「善意」「安心して見られるドキドキ」がエンタメになる!?ピュア=感情のリハビリなんです。
背景はシンプルで、みんな疲れてきている。アルゴリズムが怒りや皮肉を増幅し、政治も経済もノイズが多い。結果、刺激は欲しいけど「毒」はいらない、という矛盾が起き始めている。だから「安心して観られる強度」が2026年の1つのコンテンツ方向性になるのでは。海外の消費者トレンドでも、人々がcomfort / calm / mental refuge(安心・落ち着き・避難所)を求める動きが指摘されている。メディア側でもsimplicity(シンプルさ)やauthenticity(真正さ)が軸になり、体験やコミュニティへ移るという見立てが出てきている。
ピュアは"幼稚"ではなく"回復"
ここで言うピュアは"幼稚"ではなく"回復"の方向性。誠実なやり取り、善意の前提、素直なときめき。炎上しないように無味無臭にするのではなく、安心できるルールの中でちゃんとドキドキさせる。「安全な強度」をチューニングできると、日常摂取されるコンテンツとして有望に。面白いのは、ピュアは「制約」と相性がいいこと。スマホ禁止、手紙、待つ、余白。摩擦が感情を立ち上げる。便利さを足すより、便利さを少し引くのがコツ。これは恋愛だけでなく、買い物・学び・ファン活動でも同じかもしれない。
"賢い広告"より"誠実な広告"
コミュニケーションも変わってきている。揶揄や匂わせでバズるより、透明性、誠実な言葉、制作の裏側、失敗した時の対応まで含めて、信頼がコンテンツの鍵になる。
そして"治安"がとても重要。誰がどう振る舞う場か、どこまで言っていいか、誰を守るか。ここが曖昧だとコンテンツもコミュニティも一瞬で荒れてしまう。一度信頼を失うと現代で回復は非常に難しい。ブランドにとっては、ウィットで刺すより「ちゃんと約束を守る/ちゃんと作っている」を見せる方が、結果的に信頼と熱狂を生む、最終的に得をするようになってきている。2026年のピュアは、甘さではなく「設計された優しさ」なのかも。
具体的な事例3選
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Netflix『ラヴ上等』:ヤンキー×ギャル恋リアを「脱・恋愛美化」で描き、海外でもTop10入り。刺激ではなく「普通さ/ピュアさ」が引きになっている
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Netflix『オフラインラブ』:スマホなし、手紙、オフラインで恋愛。アナログ制約が“ピュアなドキドキ”を立ち上げる設計
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ほぼ日手帳(アプリ):共有機能なし「映えより自分との対話」。人に見せるより自分の記録にすることで、見せ合い疲れの反動に入り込む
3. ブランドは「コンテンツの従者」になる(主語を譲るマーケ)
広告において“ブランド主語”にして語る時代が終わりつつある。生活者が見たいのは広告枠ではなくコンテンツ。広告は疑われ、コンテンツだけが信用される。ブランドは広告の主役を譲り、コンテンツと連携して従者として入り込む例が増えてくる。
ブランドが、主語を譲る時代に
起点は「広告が嫌われた」だけではない。オープンなWebはAIによって断片化しつつあり、タイムラインはアルゴリズムにより「おすすめ」地獄にコントロールされ、人々の可処分時間は占拠される。そんな中でブランドが入り込めるのは、コンテンツ化するしかない。海外でも、メディア/エンタメ産業がクリエイターと連動する例が増えている。ブランドがトレンドに参加するには「何に乗るか」以上に「どんなコンテンツ、どんなIPと組むか」が重要になっているんじゃないか。
"主語を譲る"が、2026年のマーケティング
だから2026年のマーケティングは"主語を譲る"方向性になるかもしれない。ブランドが語るのではなく、クリエイターやIPが語る。ブランドはそこで役割を持つ。小道具、裏方、スポンサー、共犯者。自分を語りすぎず、コンテンツの世界観を壊さず、むしろ視聴体験をちょっと良くするアシストが期待される。オーディエンスを冷めさせてはいけない。
ポイントは「広告をコンテンツ化する」だけではなく、「コンテンツの中でブランドがどう振る舞うか」を設計すること。視聴者が「面白いから許す」ではまだ弱い。なんなら反感を買う可能性すらある。コンテンツの文脈に合わせている理解度が重要。
コンテンツ導線は、画面を超える
コンテンツ導線はSNSやWEBの中だけではない。店頭コラボ、限定アイテム、パッケージの仕掛け、購入後の参加型企画まで一続き。ブランドは視聴→参加→購入→共有のどこで手を差し伸べるかを決め、出しゃばらずに体験の質を上げるパートナーでなければいけない。実務的には、マーケ組織が「制作スタジオ化」していく流れもありそうだ。単発キャンペーンより、シリーズ的に育て、コミュニティの反応を見て脚本を直す。IP側・出演者側・流通側と同時並行で動けるガバナンスとスピードが必要になり、これを自社でやり切ることは難しいことを考えると、プロデュース能力のある会社が重宝されるのかもしれない。
評価軸も変わってきている。CVRのみならず、最後まで見られたか/保存されたか/会話が続いたか/二次創作が生まれたか。広告面を買うのではなく、物語の一部を設計して買う時代に。
具体的な事例3選
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マウントレーニア × さらば青春の光:売上連動の出演契約をXで公開し、KPI自体が「物語」になる。ファンが購入・投稿で参加する構造に
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セブン-イレブン × ちいかわ:IP文脈(例:草むしり等)を理解したコラボがコンテンツをよく理解したアウトプットとして受け取られる
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ブラックサンダー「断面モンスター」:広告というより“断面を見せるコンテンツ”として成立。商品そのものが話題の核になっている
4. オフラインは“聖地”→“プロトコル”へ~何を体験させるか
オフライン回帰はもう前提となり、「聖地」のような店舗は増加。その中で2026は「単なる場所」より「何をどう体験させるか」=プロトコルで差がつく。人と接続し、最高の体験を作るための手順書を、その余韻まで作れるか。
コロナが落ち着き、2024-25は「オフラインこそがプレミアム」「店舗がメディア化する」ことが語られた年だった。2026年はさらに一段進む可能性がある。場所を作るだけでは"聖地"にならない。むしろ聖地は増えすぎて、希少性は薄れつつある。差がつくのは、来店者が何をして、どんな気分で帰り、何を持ち帰るかまでを"手順"として組み立てられているか。
体験のOS、という考え方
ここで言うプロトコルは、体験のOS(Operating System)。入場までの体験、その店舗における役割(観客/参加者/演者)、ルール(撮影可否、会話の仕方、回遊導線)、そして余韻(帰宅後の追体験やコミュニティ接続)まで含む。
言い換えると「体験の脚本」と「運営の台本」の2つの要素が肝要となる。空間デザインだけでなく、スタッフの振る舞い・言葉・待たせ方・BGM・香りまでが「演出」になるし、逆説的に言えば顧客はそこまで見ている。
オフラインは、儀式に近づいていく
デジタルが常時接続である今、人がわざわざ移動するのは単なる情報入手ではなく「状態変化」のため。だからオフラインは、コンテンツよりも「儀式」に寄っていく方向性になるんじゃないか。
ルールがある体験は、参加者の迷いを減らし、心理的な治安を上げる。結果として、初見でも没入しやすく、語りやすい(=コンテンツ化しやすい)。ブランドが"場づくり"に投資する流れは続くが、より運営が重要になる。
余韻が、再訪と拡散を生む
重要なのが「余韻」。体験のピークはその場だけではない。帰り道に語れるか、翌日に思い出せるか、1週間後にまた行きたくなるか、シェアしたくなるか。余韻は再訪と拡散を生む。だからプロトコルは、退出後のフォロー(写真の授受、プレイリスト、次回予告、会員限定の裏導線など)まで含めて完成する。
具体的な事例3選
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Tesla Diner(米・ウエストハリウッド):スーパーチャージャー×クラシックダイナー×ドライブインシアターを一体化。「充電待ち」という空白時間を、ブランド体験の“手順”に変換している
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池袋PARCO「esc(エスケープ)」:「店員に話しかけられたら即退店」というルールのアトラクション型アパレル。購買を“ゲーム”にして、参加者の緊張と集中をプロトコルで立ち上げる
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Sleep No More(NYC):観客がマスクをつけ、自由回遊する没入型シアター。ルールと暗黙の作法が没入を担保し、強い余韻とリピート動機を生む(2025/1/5で終了)
5. フリクション・パラドックス:不便は「欠陥」ではなく「体験の呼び水」に
DXが進みあらゆる側面で便利になっている一方で、“あえての不便”が価値になる傾向は続く。不便は欠陥ではなく体験を作り出す呼び水に。不便があるから、記憶に残り、語れる。
便利が極まると、体験は薄くなる
これまでUXは「摩擦ゼロ」が正義だった。検索は一瞬、決済はワンタップ、配送は翌日。けれど便利が極まるほど、体験は薄くなる。何も「頑張っていない」から、何も愛着が残らない。ここで効いてくるのがフリクション(摩擦)だ。
心理学的には「自分で手をかけたものほど価値を高く見積もる」という傾向があり、それはIKEA effectとして知られている。少しの労力は、価値を上げる。便利はコストを下げるが、フリクションは「意味を上げる」わけだ。
摩擦は、フィルターになる
手間がある体験は、軽い気持ちの人を振り落とし、本気の人だけが残る。残った人同士は同じ苦労を共有するので、コミュニティの治安も上がりやすい。結果として、LTVや再訪が伸びる傾向にある。
重要なのは、フリクションを「欠陥」ではなく「意図」として置くこと。不便が許される条件は3つ。
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目的に対して筋が通っている(不便の理由がわかる)
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不便の先にご褒美がある(結果に納得感がある)
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不安をケアする(迷子にさせない、いざという時に助ける導線を用意する)
摩擦は、組み合わせが大切
フリクションは、単体でなく組み合わせると効果が高まる。待たせる(時間)、触らせる(身体)、会話させる(社会)、見えなくする(情報)。デジタルデトックスの流れとも相性がいい。
2026年は「どこに摩擦を残すか」も重要になるかもしれない。もちろんすべてが不便だったら顧客はそっぽを向く。「狙いすました不便」が大切。ポイントは摩擦の量ではなく配置。全部を不便にすると離脱するが、決定的瞬間だけに摩擦を置くべきだ。
具体的な事例3選
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FUJIFILM「X half」フィルムカメラモード:36/54/72枚を撮り終えるまで撮影画像を確認できず、専用アプリで“デジタル現像”して初めて見られる。デジタルに「待ち」と「取り返しのつかなさ」を両立
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Graphpaper AOYAMA(販売スタイルの摩擦):ガラスで区切った展示空間の照明が消えており、スタッフに声をかけて点灯・取り出してもらう。購買前に“対話”という摩擦を挟み、価値を濃くしている
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スマホ禁止のバー/レストラン(Hush Harborなど):入店時にスマホをポーチで封印し、会話と没入を強制的に回復。使い捨てカメラ等を用意するなど「不便の代替」まで考えている
6. 二重財布の時代(節約と“ご褒美”が同じ人の中で共存する)
インフレ環境下で節約しているけれど、推し活には惜しまない。外食は減らすのに、たまのホカンスは奮発する。2026は“節約”と“ご褒美”が同じ人の中で共存する、二重財布が当たり前に。家計のどこを削り、どこで攻めるのかのメリハリの消費が広がる。
節約モードが、常態になった
物価高は続き、将来不安も消えない。だから人は全部を我慢するのではなく、守る支出を決める。
博報堂生活総研の「2026年 生活気分」では、来年の景気が「悪くなる」が増えつつ、「来年お金をかけたいもの」で「ふだんの食事」が1位になった。一方で「今年お金をかけたもの」よりスコアが下がっていて、楽しみたいが慎重、という二重性が見える。
BCGの消費者心理調査でも、物価上昇を感じる人の割合は高いままだが、物価上昇を受けて行動を変えた人の割合は前年より落ち着きつつある。激しいインフレと円安によって「節約モード」が一時的なイベントではなく、常態になった。
締めるほどに、ちょい贅沢が増える
ただし全て節約では悲しすぎる。海外では doom spending(不安からの後先考えない衝動買い)が話題になったように、締めるほどに「ちょい贅沢」が増えることがある。日本でも、推し・趣味・食・体験のような「気分を回復させる支出」は削られにくい。
結果として支出は二極化する。「削る財布」(固定費・日用品・移動)と、「攻める財布」(食、推し、体験)。
同じ人の中で、昼はPBで節約し、夜はクラフトビールでご褒美が普通になる。
買っているのは、納得だ
このとき人が買っているのはモノだけではなく「納得」。安いからではなく、理由があるから買う。高いからでも、理由がなければ買わない。
考えるべきは商品単位ではなく「家計のスイッチ」かもしれない。平日/週末、ひとり/家族、疲れてる日/元気な日で財布が切り替わる。その、気分の切り替え点に、ブランドは選べる商品やサービスを用意する必要がある。二重財布は矛盾ではなく、現代の合理性なのかもしれない。
具体的な事例3選
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インテージ「推し活」調査:推しを持つ人は35.1%。物価高・円安の影響を「全く受けない」と答えた人が54%という結果も出ており、情緒価値の支出は守られる方向
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ローソン駐車場のRVパーク実証:千葉県のローソン6店舗駐車場で車中泊スペースを実証。1区画2,500〜3,000円、期間は2025/7/14〜2026/6/30。宿泊費を「圧縮する選択肢」に
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成城石井メンバーシップ:会計3%オフ等の日常メリットに加え、希少商品の予約販売や会員限定体験も提供。節約とプレミアムが同じ枠に同居している
7. 自己表現は「大物」から「小さな編集」へ(マイクロ・カスタマイズ)
服やバッグを丸ごと買い替えるより、チャーム・香り・小物で“私っぽさ”を上書きする。低コストでわたしをわかりやすく彩る『マイクロ・カスタマイズ』が、SNSの自己紹介文みたいに日常を編集していく。
大物を買わず、小さく編集する時代
背景は3つ。
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インフレと値上げで丸ごと買い替えるハードルが上がった
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一方で、SNSは毎日「私はこういう人」を更新し続ける装置になり、プロフィール文みたいに世界観を微調整したくなる
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さらにトレンドが細分化し、たくさんのトライブがうまれている
だからこそ、同じ趣味の人だけが反応する「分かる人には分かる」目印が欲しい。そこで一番合理的で、そしてあまりお金もかからない自己表現が、モノの総量を増やさずに、意味だけを足せる小さな「編集」、いわば「マイクロ・カスタマイズ」だ。
編集パーツで、世界観を上書き
大物(服・バッグ・イヤリング)で差をつけるのではなく、チャーム、ステッカー、ケース、ストラップ、香り、ネイルという編集パーツで世界観を上書きする。しかもパーツだけなら財布にも優しいし、気分で入れ替えられるので多様な自分を演出可能。失敗しても特に痛くないから、PDCA的に楽しめちゃう。
海外でも、自己表現が「正解を着る」から「リミックスする」へ動いている。アクセサリーにアクセサリーを重ねるchaotic customizationのように、既製品を自分の文脈で再編集する流れが出てきている。
バッグにつけるバッグチャームの復活は象徴的。高価なバッグを買わなくても、ぶら下げる一点で物語が立つ。強烈な例では、エルメスにラブブをぶら下げるような感じ。
香りのレイヤリングも同じで、服装よりも気分を編集できる。
カスタマイズが全員標準装備のスキルに
2026年のポイントは、編集が「趣味」から「当たり前」になること。ブランドは完成品の勝負だけでなく、編集パーツや編集ルール(組み合わせやすさ、集め方、語り方)を提供する側になる場合も。
買って終わりではなく、付け替えて育てる。小さな編集が積み重なって、『わたしっぽい』は更新され続ける。
重要なのは自由にさせるだけでなく、迷子にならない編集のガイド(キュレーション)も用意すること。完全自由は逆に迷うので、ある程度の道筋があった方が助かるはず。
具体的な事例3選(事例の紹介&簡単な概要)
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バッグチャームのブーム復活(“小さな贅沢”が主役に):1,000ドル級のチャームが話題になるほど、ハイブランドも「本体より“付け足し”」に熱視線。大物購入の代替として、編集パーツが売れる
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Z世代の「ぬい活」=持ち歩ける分身(静かな自己紹介):“推し”やキャラクターをぬいぐるみとしてバッグに付け、日常の移動そのものを自己表現に変える。109 labの調査では、Z世代女性で経験率が高いことも示されている
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香りのレイヤリング:“自分の香り”を固定せず、複数を重ねてその日の自分を作る。香りは服より低コストで、かつ記憶に残る高シグナル。ブランドの香水参入も増える
8. 日常のプロ化ウェルネス(アスリートの習慣が生活者に降りる)
睡眠・回復・栄養が意識の高い趣味から生活インフラへ。ウェアラブルやリカバリー商品で、普通の人が日々の体調をスコア管理し、仕事前も試合前みたいに整える 。それが2026年のウェルネス。
ウェルネスが、余裕から全員標準装備へ
これまでウェルネスは「余裕がある人の趣味」として扱われがちだった。ところが2026年は変わっていくかもしれない。仕事も生活も情報もノイズが多すぎて、放っておくと体調が崩れる。結果、人は気分ではなくコンディションを管理し始めている。
計測の民主化と、プロトコル化
この流れを一気に日常に展開したのが計測の民主化だ。
アップルウォッチやポケモンスリープ。スマホなど。あらゆるデバイスがあなたの健康を数値化することを試みている。睡眠・心拍・体組成・ストレス指標。そしてアプリが「今日のやること」に翻訳して伝えてくる。家庭用デバイスも、例えば体重計は健康寿命のダッシュボードに進化。
同時に、市場も伸びている。日本リカバリー協会の推計では、リカバリー(休養・抗疲労)市場は2024年に6.0兆円、2030年に14.1兆円規模へ拡大見込み。つまり、休むことは怠けではなく、投資対象になった。
努力を要求しない、プロ化
だから商品もサービスも「努力を要求しない」方向でプロ化する。たんぱく質が水に配合され、回復ウェアが当たり前に売られる服に。旅も逃避ではなく身体のアップデートになり、睡眠特化の滞在プランやウェルネストラベルが高単価でも成立する。デジタルデトックスやデバイス断ちがセットになるのも、回復を最大化するための手法。
海外のトレンド予測でも、睡眠ハックやデバイス断ちの儀式、ウェルネストラベルの多様化が挙がっている。医療っぽさより続けられる楽しさを残しつつ、成果を測れることが鍵になる。予防が主役になり、健康は「あとで治す」から「崩さない」へシフトする。
根性論から、システムへ
2026年の方向性は、人をアスリート化させることではない。続く仕組みで、毎日にプロの習慣を静かに混ぜること。根性論から、システムへ。ただし、計測やプロセスが過剰になると息苦しさも出るので、バランスが大事になるはずだ。
具体的な事例3選
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スリープツーリズム/スリープケーション(睡眠を“買う”旅):滞在中の計測、運動・食事・照明・アロマなどを組み込み、「眠れる身体」に調整する高単価プランが成立。旅行が“投資”になる
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リカバリーウェアの大衆化:ギフト需要で伸びるブランドが出る一方、低価格帯や流通特化の参入も増え、回復が“特別”から“当たり前”へ。市場自体も拡大
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「たんぱく質がとれる水」(栄養摂取が日常レベルに):水分補給のついでにたんぱく質を摂る、という“習慣化”の設計。筋トレ勢だけでなく、一般生活者の栄養導線に入り込む
最後までお読みいただきありがとうございます。もし内容が良ければ登録ボタンより、次回のニュースレター配信をお待ちください。
最後に!
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