映画体験を新しくするプライベート映画館+小売現場にアプローチするトレードマーケティング 25年8月第1号

今週は23個のニュース、書籍2本、ソウルのベーグルショップをご紹介。今週は10,167字でお届け。
南坊泰司 2025.08.05
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マーケティングトレンドインプット 今週のクイック解説3選

ニューヨークにできた「プライベート映画館」が示唆する映画体験の進化と変化

ニューヨーク、チェルシーにできた新しい映画館は4人~20人の小さな部屋に別れた20のスクリーンを持つ場所。4人部屋なら200ドルから使えて、1人当たり100ドルのちゃんとした食事のコースを食べることもできる場所。これは新しい映画の体験の提案ですよね。

そもそも映画を取り巻く状況はこの数年で大きく様変わり。Netflixのような動画見放題サービスが当たり前になり、映画公開から家で見られるようになるまでの期間も大幅短縮。映画を映画館で見る、その体験の意味が大きく変わっている。ただ見るだけでなく、体験としての価値を高めていく方向になる中で「最高のシネマ体験を気の置けない仲間と楽しむ」場所としてのこの場所の提案という感じ。

それにプライベートシアターはしゃべってもいいし、子供が騒いでもいい。大切な仲間や家族と最高の環境で映画という最高のエンターテインメントを楽しむこと自体にお金を出す価値があるということなのだ。映画干渉自体がイベント化していく傾向の、非常にわかりやすい事例。しかしこれいいですよね。日本でも誰か作ってくれないかな。

最高のエリアマーケティングのケーススタディとしての沖縄ファミリーマート

沖縄でNo.1のコンビニはセブンイレブンでなく、昔からファミリーマートなんです。今ではセブンも進出してどんどん店舗は増やしているモノの、ずっと1位。さらに店舗数だけでもなく売上も良い。なんと平均日商は67.6万円で全国平均より約10万円高いんですよね。

食品カテゴリ(中食)の売上5割が独自商品で超沖縄特化しているのが特徴。いまや全国区となったポーク玉子おむすびなどの定番に限らず、毎週1品ペースで商品がリリースされているらしいです。面白いのは沖縄県民に愛されているからこそ、県民に愛される商品が結果的にお土産として沖縄を訪れる観光客にもヒット商品になるという好循環。人気のある「泡盛コーヒー」はそんな感じの商品だそうです。

実は沖縄ファミマの筆頭株主は沖縄の大グループであるリウボウ。沖縄をよく理解した上での意思決定が行われているんですよね。全国で当たり前にあるファミリーマート、でも実際に入ってみたら全然違う。沖縄ファミマというサブブランドが確立されている面白さがあります。全国区でありながら、ローカルエリアマーケティング。このアセットの使い分けは様々な観点で参考になりそう。

「ハイパー栄養素グミ」がアメリカで人気 進化するグミ市場

日本でもグミ市場はずっと急成長しているカテゴリですが、アメリカでも独自成長しています。Grüns(グリュンズ)は創業2年で評価額742億円、大手スーパーでも売っている超ヒットブランド。60種以上のスーパーフード、21種のビタミン&ミネラルが入っている「オールインワングミ」なんです。

本来グミはお菓子ですが、サプリの代替品として別のカテゴリへと超越しているんですよね。どんなに栄養価が高くても、味が美味しくなかったり、食べるプロセスが大変だったら続かない。でもグミならシンプルに食べるだけ。そりゃ敷居が低いですよね。グミは形状の縛りも少ないので、様々な栄養素を入れ込みやすいのも特徴。海外だとサプリがどでかい剤型だったりするのも影響しているのかな?

グリュンズはこの好調を受け、子供向け、ゲーマー向け、アスリート向けと様々なターゲットに特化した栄養素の新商品を展開しているとのこと。日本でもグミ×特定栄養素はヒット商品になりつつありますが、それとはまた別の「これを食べておけばとりあえず大丈夫」というなんとなく体に良い領域を抑えるブランディングがうまくいってそうです。ギルトフリー、罪悪感のないおやつとしても強いですよね。

***

源泉かけ流し!今週のマーケティング関連トピックス(今週は23個ご紹介!)

アラモ・ドラフトハウスの創設者による新しい映画館のコンセプト:個室、グルメな食事、接客

ニューヨーク、チェルシーにオープンする「貸し切り専門」の映画館。

4人用、12人用など20の劇場があり、4人なら4時間で200ドル。

食事もこだわっていてしっかりとしたディナーが出る。

映画鑑賞をより体験として昇華させる試み。これめっちゃいい。日本に欲しい。

もちろん最新映画が見れます。

インディーズ映画スタジオA24がオフブロードウェイ劇場を買収した理由とは?

いま一番勢いがある映画スタジオ、A24

そんなA24、実は古い劇場を買収し所有していて、9月には自社独自のライブパフォーマンス会場としてリニューアル。

映画はカルチャーの集合体であり、そんなカルチャーの発信地としての「聖地」を自社で持つことにブランドとしての価値があるんだろうな。

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続きは、11042文字あります。
  • 海外現地調査レポート:ロンドンベーグルミュージアム@ソウル 一世を風靡した超ブランド型ベーグルショップ
  • 明日から効く!マーケティング/ブランディング関連書籍レビュー
  • 1年後に効くかも?あなたにおススメなインプット
  • 今週の1曲
  • 最後に!

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