USJとメイクブランドのコラボ、上海に現れたヴィトンの船。止まらないブランドのエンタメ化 25年8月第3号
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マーケティングトレンドインプット 今週のクイック解説3選
KATE×USJ:体験型マーケティングの新境地/ブランドの加速するエンタメ化
メイクアップブランドであるカネボウのKATEと、大阪の最強テーマパークのUSJ。全然接点のなさそうなこの2つがまさかのコラボレーション。USJ最大のイベントであるハロウィン期間中に、期間限定のアトラクションをオープンするとのこと。
さすがに遊園地と化粧品ブランドのコラボは自分も記憶にない超異色。でもいろいろ調べてみると納得感はあるんです。そもそもKATEのブランドスローガンは「No more rules」でなんでもありなUSJの方向性を親和している。KATEは様々なブランドマーケティングを展開していて、TikTok売れを起点に、高校生向けにメイクを教えるスクールや、体験型のECなどブランドに根差した様々なエッジの効いたアクションを展開中。どれも商品を強力に訴求するというよりは「ルールに縛られず、感情を開放する」というブランド哲学を実践していて、今回のテーマパークでも同様。「感情を開放する」をキーにしたアトラクションとしての面白さを追求しているそうです。もちろんSNSでも拡散されそうなのはポイントだよね。
純粋なブランド広告だけでなく、こうしたPRバリューの高いブランドアクションを組み合わせ、そしてSNS話題性を刺激してまたKATEの話題が流通する。このスパイラルでKATEはZ世代に支持されるブランドになっているし、直接的な広告がなじまないこの世代にフィットしているのかもしれません。
今は消費者も賢くなっているので、こうしたブランドのエンタメ化を受け入れられる、リテラシーが向上しているのも面白いですよね。
ローソン850店舗にあるクレーンゲームが好調。エンタメ拠点になっていく地方のコンビニ
たった1年で852店舗と爆速で拡大したのがローソンにあるクレーンゲーム。都内の人は見たことはないと思いますが、地方エリアやインバウンドの強いエリアを中心に設置されているんです。実はきっかけは「京都の店舗オーナー」からの提案だったのが面白い。ビジネスモデルとしても面白く、設置が急拡大した理由は追加コスト無しで導入が可能だから。タイトーが筐体設置、景品補充、メンテナンスを全て担当。オーナーは空きスペースを提供するだけで収益源を得られるんです。そりゃ広がるよね。
観光地や地方で特に売上が好調なようですが、アミューズメント施設が少ない地方にとってはコンビニは地域のエンタメ拠点というインフラになっているところが面白い。観光地、特にインバウンドが強い地域では、日本のコンビニという外国人にとっては「夢の国」でさらにエンタメまでできてしまうわけだから親和性あるよね。
現在はタイトーが仕入れている商品が中心だが、今後はローソンでしか手に入らないオリジナル展開も検討しているとのこと。例えばからあげクンのカプセルトイなどができれば、ローソンのブランド接点としても機能することは明確。むかし地方の駄菓子屋がエンタメ拠点であり集いの場所だったように、コンビニがどんどんエンタメ化して集まれる場所になっていく可能性、ありそうです。
推し活文脈で大ヒットしたRentioのハイエンド双眼鏡レンタル
防振双眼鏡、知らない人は全然知らないプロダクトだと思いますが、内臓されたセンサーが自動で手振れを検知して補正する高性能双眼鏡です。元々の用途は天体観測やバードウォッチングだったのですが、近年では圧倒的に推し活文脈で使われるようになった商品。実際Googleトレンドで調べてみたら、この5年でじわじわと検索指数が上昇していることがわかります。要はライブの際に推しのアイドルをはっきり目にしたいというニーズがあるわけですね。

プロダクトとしては高価だし、ライブはかなりのファンでも年5~10回程度。そこでこの双眼鏡をレンタルするのがあたりまえになっているとか。実はこれ、レンティオが仕掛けたというよりは、需要が急増した後にレンティオ内でのデータ分析をし利用者が9割女性であることを発見。そこから利用用途を理解し、今では「レンティオ推し活部」として、東京ドームのどの席なら、どの程度の倍率の双眼鏡が必要なのか?を説明するほど推し活トライブに細かいアプローチをしています。ある種のコンサルティングも提供していると言える。
双眼鏡は普段の生活では使わない、さらに防振双眼鏡は倍率が異なり、席によって「ベストな推し」を見れる推奨倍率は別々なので1つ持っていればいいわけでもない。完璧にレンティオの利用シーンとシンクロしている巧みな利用シーンの発見でした。
源泉かけ流し!今週のマーケティング関連トピックス(今週は10個ご紹介!)
緑茶飲料の飲用が、速やかに作業成績とフロー体験(特に没入感)を高めることを確認
伊藤園の面白いニュースリリース。
緑茶を飲むことで「フロー体験」が高まるという調査。
実際に飲んだあと暗算成績が向上、更に作業時の没入感も向上。
将来的に緑茶によるワークエンゲージメント向上を目指した商品が出るのかもしれない。
こういうメーカーによる深掘り、面白いですよね。
若者の過半数が「美術館に行かない」。Z世代に刺さる展覧会とは? ──国立アートリサーチセンターが15〜25歳のアートに関する意識調査を実施
15-25歳の美術館に関する調査。
家族連れられデビューが多く、美術の関与は家庭に左右されそう
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年に1回以上が1/4、全くいかないが半数
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美術館デビューは小学生、家族に連れられて
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比較的女性の方が美術やアートへの興味関心が高い
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行ってみたいのはポップカルチャーよりも海外の有名作家
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