ジモティースポットが創り出すオンライン×オフラインでサービス利用率を高めるポジティブスパイラル 25年7月第1号
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マーケティングトレンドインプット 今週のクイック解説3選
ジモティーの新事業、ジモティースポットにみるOMO戦略分析
ジモティースポットはジモティーが運営する店舗型のリユース拠点の新事業。家庭で出た家具や家電などの不要品を、費用や予約なしで「無料」で持ち込める場所。買取査定がないため、待ち時間は無しのとにかく持っていくだけ!の仕組みが使う側からしたら超分かりやすいわけですね。更に「買う人」はそこで集まったリユース品を、中古ショップやフリマアプリの半額程度の驚くほど安い価格でゲット可能。顧客は買う以外では純粋に不要品の持ち込み場所として使える夢のような場所なんですよね。
この出発点となったのは自治体連携型のモデル。自治体が所有する施設を活用して出店。自治体としては地域のゴミ問題を解決でき、ジモティーとしては自治体から広報してもらえたり、自治体のお墨付きを得られる強力なモデル。今は自治体に限らず、拡大スピードを上げるために直営やフランチャイズでも展開を広げていてどんどん拡大中です。
色んな戦略がありますが、オンライン×オフラインの設計をやっていた南坊的に気になるのはOMO戦略としての役割。大前提オンライン→オフラインで、1000万MAU規模で使われているアプリが送客装置として機能。さらに店舗自体も魅力的な場所。買う人は「低価格・宝探し」の体験ができるし、持ち込む人は手軽にいらないものを処分できる。オフライン店舗に行く理由も顧客の課題を解決している。
アプリ利用者が増える → スポットへの送客力が高まる → 店舗売上が安定し、出店が加速する → ブランドを認知する場所が増えていく、という好循環が生まれているんですよね。しかも店舗の体験はアプリの体験とも同じです。「いらないものを譲って、安く買えるものがある」わけなので。
ちなみに実際にジモティースポットが出展したエリアでは優位にジモティーの利用率が上がるらしく、この好循環は明確に裏付けがありそう。やっぱり物理的に生活圏にあるって、マインドシェアでは全然違いますよね。もちろんリアル店舗を運営するのは大変ではあるのですが。
「手のりケルヒャー」が30分完売で見せた、ニッチ市場の新常識
みんな知ってる高圧洗浄機のブランド、ケルヒャー。でも知っての通り小脇に抱えるぐらいの大きいサイズが基本なのですが、手のひらサイズのケルヒャーをクラファンに出したところ、なんと30分で2500台完売。高額な家電としては衝撃的な成功を収めています。
この現象、単なる「売れた」話じゃなくて、実はマーケティング戦略として巧妙だなあと。
従来の高圧洗浄機の常識は「高圧洗浄機=大型・高性能・高価格」の図式。そんなところに、手のひらサイズで12,330円という価格設定。もペットボトルから給水できて、コンセントも水道も不要。既存の高圧洗浄機とは全く別の価値ですよね。もちろん「高圧」のパワーは大きく変わるわけですが、ケルヒャーの強いブランドがあるからこそ「あの高圧洗浄機が手のりに、気軽に」というブランドエクステンションがうまく決まった、という事例なんだろうなと思っています。
ブランドエクステンションしたプロトタイプマーケティングにおいて、クラウドファンディングはやはりとても有効で、ケルヒャーとしてはおそらく社内にあった洗浄機に対する仮説、試しにくさや、使ってみたいけどサイズ感や水の出どころが気になる…といった課題に対して満点の回答が返ってきた、という感じなんでしょう。もちろん正式ローンチする時にも今回のファクトを活用できるので、既存ブランドの活用事例として非常に象徴的だったな、と思った事例でした。
芥川賞作家が“95%”AIに小説を書かせてみた
この先週非常に話題になったコンテンツ、実は博報堂の雑誌『広告』のコンテンツなんですよね。さすがエッジの効いた企画で素晴らしいです。毎号読んでます(ラブコール)。
さて、タイトルはセンセーショナルだし、文学の話なの?って思うかもしれませんが、このコンテンツ、AIを使う人は絶対に読んで欲しいんです。これ「推論モデルとの対話」あるいはプロンプトの活用法としても非常に面白いんですよね。
九段さんはさすがAIを活用している作家のかたらしく、AIの「追い込み方」がメチャクチャすごいんです。
AIに明確にルールをつけたり、名前をつけたりなど、AIへの権限設定が明確
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何度もAIにアイデンティティを問うことで、血の通った小説が出力できるような偏りを生み出す
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複数案を列挙させてからより絞り込むなどして方向性を明確にする
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非常に細かい指示をしていくことによって、その他全体の描写に対しての制度も上げていく
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AIの甘えを許さず徹底して出力させるパートナーとしての制度を高めていく
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一方で「小説に魔法をかける」というような創造的作業を出力するための限界まで推論させるAIの「走らせ方」
実は相当九段さんがコントロールしているので、AIがポンと出したわけではなく、小説を書く難しさも感じさせますが、AIを使う人なら読んで欲しい素晴らしいコンテンツでした。
源泉かけ流し!今週のマーケティング関連トピックス(今週は15個ご紹介!)
PUBGなどの韓国ゲーム会社KRAFTON、ADKグループを約750億円で買収・子会社化
広告に関わる人としては大ニュースのPUBGの会社によるADKの買収
KRAFTONにとってはゲーム会社から総合IP企業へ
ADKとしては広告代理事業からIPグロースの会社へ
広告代理店としてはフォーカスが絞られるが、IPという強力なソリューションを武器にできるとも言える。
にしても業界3位の再編は衝撃。
株式会社良品計画 2025年8月期 上期決算説明会
絶好調の無印良品。
2025年上期は大幅増収増益。
好調を牽引しているのがヘルス&ビューティ。
ヒットを連発している無印コスメとスポンジや洗剤などの日用消耗品。どちらも前年比140%の爆売れ。
日常使いする商品が好調なことで、結果的に来店頻度が上がり、LTVも上がる好循環。
美しい成長だ…!
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- 海外現地調査レポート:チェコのサステナビリティプロジェクト「REkelímek」(リケリーメック)
- 明日から効く!マーケティング/ブランディング関連書籍レビュー
- 1年後に効くかも?あなたにおススメなインプット
- 今週の1曲
- 最後に!
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